注意!ネタバレあり。お話は例によっていつものアレ!でも嫌いじゃないよ『悲鳴を上げる頭蓋骨(叫ぶ頭蓋骨)』

基本情報

SCREAMING SKULL ★★☆
1959 ヴィスタサイズ 78分 @アマプラ

感想

■新居に越してきた新婚さん。でもその家は夫の元妻が事故死した家だった。新妻は夜な夜な謎の叫び声を聞いたり、家の中に突如頭蓋骨が出現する怪現象を訴えるが、過去に両親の水死事故で精神を病んだ病歴があり、主治医に相談しようと言われる始末。。。

■というお話だけで大体の察しはつくでしょう。まさにそのとおりのお話です。この時代に、世界中でいっぱい製作された病弱な妻を狂言怪談で衰弱死させようとするパターンの映画です。製作と脚本をジョン・ニューブールが担当してますね。ボリス・カーロフの「スリラー」でも脚本を書いてました。お話の構成としては悪くなくて、意外性もないけど露骨な破綻もないですよ。怪異シーンの間抜けな頭蓋骨描写が爆笑を呼ぶ類のものなので、C級ホラーなんだけど、お話も役者も意外と悪くない。新妻を追い詰める怪異は狂言怪談だった。でも真の悪党には本物の幽霊が現れて制裁を加えるのだ。頭蓋骨描写以外のところは、ちょっと秀逸なイメージもあるのだ。

■監督はアレックス・ニコルという人で、たぶんそうじゃないかと睨んでいたのだが、やはり自作自演。知的障害のある庭師の青年役を自分で演じる。ヒロインはペギー・ウェッバーという女優で、決して美人ではないけど、神経衰弱を真面目に熱演するので悪い気はしない。

■撮影監督はなんとフロイド・クロスビーで、ロジャー・コーマンの映画でも有名だけど、『真昼の決闘』を撮っている人で、とらえどころのない人。なんというか効率重視であまり厳密なタイプじゃない。本作も照明効果は薄めだし、人物の影がいくつも出るし、ナイトシーンはライト一発撮りだし、例えば同時期にコンラッド・ホールがテレビで披露した技巧などに比べるとずいぶん薄味というか雑。

■なぜか制作陣は頭蓋骨そのものがよほど怖いと思っているようで、出しておけば怖がるだろうという安易な姿勢で撮っている。実際、恐怖の御本尊であるはずの頭蓋骨の雑な扱いが笑いを誘うので、そこは当時から観客とのギャップがあったようだけど、なんでこんなに頭蓋骨ラブなんだろう?まだしも生首ならフェティッシュとしてわからんでもないけどね。ジョン・ニューブールの趣味なのか??


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