鳩は地獄から来る!南部ゴシック怪談の有名作の映像化!ボリス・カーロフのスリラーS1 EP36「Pigeons from Hell」


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■脚本:ジョン・ニューブール 撮影:ライオネル・リンドン、音楽:モートン・スティーブンス、監督:ジョン・ニューランド

■原作はロバート・E・ハワードの「鳩は地獄から来る」とう有名な南部ゴシック怪談。原作者のハワードは「勇者コナン」シリーズで有名だけど、ラブクラフトとも親交があり、クトゥルー神話系のホラー小説も書いている。この原作小説も向こうでは有名だったが、近年再翻訳された。

■監督はジョン・ニューランドで、「世にも不思議な物語」のホスト兼全作監督という偉業(?)を成し遂げた人。演出スタイル的には、一般ドラマと変わらず、特に怪奇タッチやサスペンスタッチを強調しないタイプ。そもそも「世にも不思議な物語」が実話の再現ドラマと体裁なので、あえてそうしているのだろうけど。それに比べると本作はオーソドックスな怪奇映画タッチで、押すところは外さないけど、それでも淡白ですね。脚本もシンプルであっさりしてるからね。美術装置も明らかに低予算で、照明効果も相当に適当な塩梅。

■南部を旅する兄弟がブラッセンヴィル屋敷にたどり着くが、兄は屋敷の二階に行って戻ってくると頭を割られた状態で弟に斧で襲いかかる。弟は保安官を連れて戻り、はじめは信じないが、二階に行くとランタンの火が消える有様に異変を感じ、かつて屋敷の使用人だった黒人の老人に曰くを尋ねると、昔屋敷に棲んでいた三姉妹を憎んでいた異母妹のユラ・リーをヴードゥーの秘術で「ズヴェンビ」(ゾンビとは違うらしい)にしたと明かす(と毒蛇に噛まれて死ぬ)。屋敷に戻った二人だが、夜になると弟は夢遊病のように二階へ歩き出す。。。

■正直、わかったようなわかりにくいロジックで、ロバート・ブロックあたりならもっと明確に理の勝った南部ゴシックになったろう。大農園で迫害されて育った混血のユラ・リーは、ヴードゥーの秘術で姉妹に復讐し、自らもズヴェンビと化して生き続け(死に続け)ているということか。ただ、見せ場の構成はシンプルだし、前半と後半の見せ場の呼応関係も構築が綺麗にできているので、気持ちいいし、サスペンスとショックもちゃんと効いているし、ラストで明かされる隠し部屋の惨状も妙にリアルで陰惨。いたずらにおどろおどろしくしていない分、さらっと気色悪い後味を残す効果がある。寝る前に観てしまったことを後悔しましたとさ。確かに秀作だと思います。でもあちらの批評を読むとちょっと褒めすぎな気もしますがね。

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