結局犯人は誰?あれこれ盛りすぎの異色スリラー大作『絞首台の下』

基本情報

絞首台の下 ★★☆
1959 スコープサイズ 91分 @アマプラ
企画:岩井金男 原作:楠田匡介 脚本:高岩肇 撮影:横山実 照明:安藤真之助 美術:佐谷晃能 音楽:小杉太一郎 監督:西河克己

感想

■幼なじみから手紙が来たけど、彼は刑務所の中だった。しかも、誰かの手引で脱獄したかと思ったら、今度は何者かによって拉致されているらしい。心配だけどとても私の手には負えないから、トップ屋のおじさんと法医学者の彼女の熱々カップルに任せて、私は北海道に帰ります!

■という、稲垣美穂子のエピソードからお話が始まるのだけど、実質の主役は長門裕之渡辺美佐子の探偵カップルで、長門はいつものように生きの良い事件屋で、渡辺美佐子はなぜか高飛び込みが趣味の法医学者という実に盛り盛りの役柄で、水着シーンもふんだんに。それどころか、終盤では水中撮影にも挑むし、水着のまま砂丘で追跡劇まであって、気の毒なほどの(?)大活躍。絶対、足の裏怪我してるよね!

■なにしろ登場人物は多いし、お話は妙に複雑だし、そのうえ最終的に真犯人が何者なのかはっきりしないし、原作由来なのか、某国に対する気兼ねなのか、熊井啓が書けばよかったのにというお話。とにかく、いろんな趣向やキャラクターがごった煮状態で、一筋縄ではいかない妙な映画。

■しかもなぜか西河克己が監督していて、お得意のカッティング術で快調に飛ばすから、映画の流れはなめらかだけど、なんだか芯がないのだ。非常に技巧的なカッティングで、それはそれで凄いのだけど、何が言いたいのか?ってこと。結構な意味ありげな展開なのに、最終的にそこは肩透かしで、ラブコメ的に終わってしまうのは、いくらなんでも「ぎゃふん」ですよ!

参考

戦後の日活映画は初期に井上梅次らがスリラーの傑作を撮ったので、その後も犯罪映画、ノワールなどが路線化された。わりと忘れられた路線だけど、傑作がいくつか生まれた。なんといってもオススメは『第三の死角』と『人間狩り』ですね!
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ホントはこんな映画になるはずだった?熊井啓の『日本列島』です。
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