アウター・リミッツ S1「火星人の実験」「破滅の箱」「昆虫美人」

「火星人の実験」

戦争に明け暮れる地球人の殺人願望を観察するために地球へやってきた火星人は、近所のホテルで殺人事件が発生しそうだとの報を受け、ラウンジへ出向くと、特殊な装置を使って、訳あり男女の殺人事件の顛末を何度も検証するが、そのうち。。。

というお話で、珍しくコメディ編。しかも、かなりできが良い。時間を操作して何度も殺人事件を再現するうち、人間に興味を持っていとろいろと時空に干渉し始めるあたりが愉快。「暇は良いね!」の台詞はケッサク。

時間を停止させておいて、自分たちだけ自由に活動する場面は、地球人役の男女は静止したり、ゆっくり動いたり、アナログな手法で表引き伸ばされた時空を現するので、まことに楽しいことこの上ない。

「破滅の箱」

コンラッド・ホールの撮影で、ウィリアム・ワイラーの傑作に娘役で出演した往年の名女優ミリアム・ホプキンスが老醜を演じる変なお話。お話が変なのは、ジョセフ・ステファーノが脚本を書いているから。何がしたいのか、何が言いたいのか判然としないのは、いつもの悪い癖。

箱の中の異星生物のデザインと造形がいつもながらグロいのがこのシリーズの持ち味で、1つ目の肉塊という生命体がみどころ。でも、なんで箱に入ってるのか意味不明だよね。

コンラッド・ホールもたぶん脚本の意図がよく分からないから、あまりやる気もない感じだ。ミリアム・ホプキンスの狂気をねっとりと描くのが主眼だが、誰が嬉しいのかね?

「昆虫美人」

人間を操ろうとする女王蜂は若い女性の姿に変異して、昆虫学者のもとへ助手として押しかけ、妻から彼を奪い取ろうとするが。。。という単純なお話なんだけど、侮れない名編。

照明もわりとノーマルで、ソフトなタッチなので、誰かと思ったけど、コンラッド・ホールの撮影。たしかに、何箇所か特徴的な構図があるけど。

蜂女を演じるジョアンナ・フランクがとにかく絶品で、特撮無しで、形は人間だけど、人間ではない異形を完璧に演じきる。前髪が乱れて、顔に影が差すだけで内心の異常さを表現するあたりは、さすがにコンラッド・ホールの映像造形力の妙。これだからモノクロ撮影は廃れてほしくないのだ。

その無邪気で邪な言動も完全にボーダーラインの少女そのもので、実によく書けている。子孫繁栄のために昆虫学者を寝取ろうと、その妻を責め殺したあげく、妻の葬儀の直後で気の毒なほど憔悴する昆虫学者の前に、結婚式のヴェールをまとって出現して私と結婚して!と軽く言い放つ場面は傑作だし、その後の昆虫学者の心情の吐露が絶品で、亡き妻への思慕が邪な女王蜂の邪念を薙ぎ払うクライマックスは、特撮ではなく役者の演技をクライマックスに据えた見事な演出だし、素直に感動的だ。ちょっと泣けましたよ。

結婚は一生に一度きり、子どもが生まれたら共に喜び、子どもがなければ共に哀しみ、夫婦の人生はひとつしかないのだ、だからもう誰とも結婚などしない、そんな気持ちがわからないのは、お前が人間ではないからだ!

初めて自分の意思から激しく自己主張する主人公の姿は感動的で、彼の亡き妻に対する真情の発露こそがこのドラマの眼目だったのだ。昆虫学者の夫婦には娘があったが亡くなっていて、生きていれば蜂女くらいの年齢で、という振りもあるので、蜂女からの誘惑は近親相姦的タブーを刺激するようにできている。実によくできたドラマです。必見。

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