感想
■キューバで死んだと聞かされていた父(森雅之)が生きていた。外交官としてギャンブルで儲けたお金を密かに革命軍に資金援助していたが、現地の日本人女(渡辺美佐子)の裏切りで逮捕され処刑されたはずだったが。。。
■というお話はホントにそうなんですよ。今は芦田伸介の娘として生きる、その男の娘・吉永小百合が実の父と再開するか、ついて行くか悩むというお話なんだけど、全く説得力のない無理くりな脚本。原作は大佛次郎の名作らしいけど、太平洋戦争を背景としているらしい。それなら納得できるんだけど、何故かそれをキューバ革命に組み替えたので、謎だらけの作り話になってしまった。
■文芸大作だけど吉永小百合の見せ場はないし、演技的な新境地も用意されていない。むしろ賭けに強い外交官を演じる森雅之の色気で持っている。こんな絵空事の役柄なのに、それなりに一定の実在感を感じさせるのは森雅之だから。キューバでダイヤを買い占めて日本に持ち帰ろうと図る謎の女を渡辺美佐子が演じるけど、これも説得力のない役柄で、森雅之との腐れ縁のエピソードも全く冴えない。
■なんだかみんな柄にもない空想的なお話につきあわされたようで、演技的にも精彩がない。森雅之を除いてね。そもそもなんでこんなところでキューバ革命に対するシンパシーを表明する必要があるのか、理解に苦しむ。他所でやれば?という話である。