アウター・リミッツS1「人間カメレオン」「死体蘇生器」

■アウター・リミッツ、シーズン1の最終回を迎えます。「死体蘇生器」がそうですね。

「人間カメレオン」

■墜落したUFOは核兵器を搭載しているらしく、軍も手が出せない。内部事情を偵察するため、人間を遺伝子改造して宇宙人に改造して送り込む作戦が動き出す。白羽の矢が立ったのは、情報部の子飼いのスパイのメイスという男だったが。。。

■ゲストは若き頃のロバート・デュバル、脚本は後の名脚本家ロバート・タウンが書いてます。メイスのハードボイルドで絶望的に孤独な人間像などはそんな感じでしょうかね。人間を宇宙人に肉体改造するお話は、ジョセフ・ステファーノのお気に入りでしょうか。見どころはあるし、テーマも芯が通っているけど、いまいち感動的にならないのは、演出(ガード・オズワルド)がルーズだからかな。。。

「死体蘇生器」

■男を毒殺した二人の女。死んだ男が蘇ったと狂乱した一方の女は嵐の森の中で一軒家に駆け込むが、そこに暮らす若い男は時空のバランスを操作し、死者を蘇らせる実験装置を開発中だった。。。

■なんでも、ジョセフ・ステファーノが別の新シリーズのためのパイロット版として製作したらしく、スタッフもA級を投入している。つまり、撮影監督がコンラッド・ホールということ。ヴェラ・マイルズとバーバラ・ラッシュが共演し、デビッド・マッカラムマッドサイエンティストを期待どおりに演じる。

■とにかくコンラッド・ホールが撮ると、モノクロ映像が冴え渡り、まずは照明設計のレベルが全く違うし、グラフィカルな構図のセンスも抜群。シリーズ常連ケネス・ピーチのラフな撮り方とは全く次元が異なる。監督はガード・オズワルドで、「人間カメレオン」と同じなのに、この違い。照明も構図も狙いまくる。それが煩くならないのも凄い。それでいながら女優たちはバッチリ綺麗に撮れている。悪女風のヴェラ・マイルズなんてヒッチコックの映画よりずっと綺麗だし魅惑的。もともと第二のグレース・ケリーと言われた人だから綺麗なはずなんだけど。

■精神的に脆い風情のバーバラ・ラッシュの熱演も見どころで、ちょっとやり過ぎ感もある、怯える表情がエロい。というか、怖がり方がホントにキュートで見惚れる。撮影当時、すでにアラフォーですけどね!ヴェラ・マイルズの言いなりの支配関係がエロくて痺れます。いかにも60年代ファッションが眩しい、スリムなスーツとノースリーブワンピ(ミニドレスっていうの?)の美女がふたりとも、豪雨の夜の森で、ずぶ濡れで右往左往する様子も素晴らしい趣向で、いい趣味だと思います!でも、雨はちゃんと女優を外して降ってますからね、特効さん偉い!ちなみに、ヴェラ・マイルズよりバーバラ・ラッシュのほうが年上らしいよ。

■男を毒殺した女達の関係があまり描きこまれないのだが、どうみてもレズビアン的な関係に見えるし、色々と未解決の細部が散見され、しかもそれぞれの要素がキャメラ表現主義的タッチのおかげもあり魅力的なので、本来は90分くらいの脚本じゃないかという気がする。死体蘇生器のアナログなデザインも秀逸。SFというより、ファンタジー寄りですね。でも全体の映像のタッチは立派な怪奇映画。そうか、『悪魔のような女』だった!

© 1998-2024 まり☆こうじ