犬鳴村はなぜ穢れてしまったのか?そこで腰が引けてる残念作『犬鳴村』

基本情報

犬鳴村 ★★☆
2020 ヴィスタサイズ 108分 @アマプラ
原案:清水崇保坂大輔紀伊宗之 脚本:保坂大輔清水崇 撮影:福本淳 照明:松本憲人 美術デザイナー:松永桂子 音楽:海田庄吾滝澤俊輔 VFXスーパーバイザー:石井教雄 監督:清水崇

感想

■興味本位で犬鳴村に潜入した兄の恋人が狂死した。その後兄も弟も犬鳴村に向かって失踪した。サイキック能力を持つ臨床心理士精神科医かと思った!)の主人公は自分のルーツと犬鳴村に関わりがあるらしいと感づくが。。。

■有名な都市伝説犬鳴村の怪異を映画化した話題作。明らかに低予算だが、配役は豪華で、脇役に高嶋政伸高島礼子寺田農石橋蓮司を揃え、重要な役で水木薫が活躍する。水木薫はにっかつロマンポルノでも活躍した上智大出身のインテリ女優で、当時から一目置かれていた人。その後脇役専門でたくさん出演しているが、テレビでも時折全裸シーンを演じて、相変わらず少女のように華奢で綺麗だなあと感心したのも、もう20年以上前のことか。さすがに本作では脱ぎませんよ。おばあさん役ですからね!

■本作の主演は三吉彩花という若手で、全く初見だけど悪くない。ちゃんと主演で成立してるからたいしたものだ。さいしょは成海璃子かと思ったのだが。そして少々でかすぎるのだが。

■お話としては犬鳴村がなぜ、どう呪われているのかというところが興味の焦点になるのだが、正直なところそこは成功していない。というか、明らかに腰が引けていて、ご都合主義に走る。それは主人公に霊能力があるというお決まりの設定だし、中盤から唐突に登場する村の若者の存在で決定的になる。ここからお話はダークファンタジーに転調してしまう。勿体ないことだ。最後までリアル土俗ホラー路線でいけばいいものを、中途半端に卑しい血筋の話とか犬神筋の話を持ち出すものだから、かえって自由が効かなくなったのだろう。そこを民俗学的にリアルに突き詰めると、当然差別の問題が正面化してきて、いろいろとやっかいな大人の事情を呼び起こす懸念があるからだ。

■でもそこを描かないとドラマにはならないので、終盤はかなりグダグダで論理的に成立していない。本来なら、高嶋政伸高島礼子寺田農石橋蓮司が一同に会して、犬鳴村の過去の因縁や今に至る呪いの正体をえげつなくえぐり出す心理ドラマがクライマックスになるべきところだし、そうでないと面白くも怖くもならないところなのに、期待させた脇役たちは脇にとどまったままで、ドラマの確信に関与しない。ああ、勿体ない!

■犬鳴村を伝説的な恐怖地帯に変貌させた事の真相を、人間の差別意識の恐ろしさとして描くのでなければ、成立しないドラマなのに。特殊メイクで怪物を出すよりも、ダブル高島(高嶋)とか、蓮司とか、農の濃い演技のほうが、よっぽど人間心理の恐ろしさ、奥深さを表現できるはずなのに!嗚呼勿体ない!

■監督の清水崇も、しょうじきこのジャンルに食傷気味らしく、往年の先鋭的な恐怖描写は見られない。だからこそ、今回はドラマで押すのかと思ったのだが、ドラマの構築がなっていないから、腰砕けに終わる。問題は脚本なんだ!アメリカ映画なんかは、そこのところほんの短いシーンやセリフで的確に仄めかして見せるからね!

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参考

▶むしろこちらのバージョンのほうが面白そうだ。▶ちょっとこの映画を想起しました。地味すぎてほとんど忘れられた映画ですが、なかなかの秀作だった『案山子』
maricozy.hatenablog.jp
▶監督デビュー作の短編から観てますけど、清水崇も結構苦労しているようですね。明らかな駄作も含めて。
maricozy.hatenablog.jp
maricozy.hatenablog.jp
maricozy.hatenablog.jp
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