怖くはないけどエロい。上白石萌音の濃厚糸引きキッス!『怪談牡丹燈籠異聞 お露と新三郎』

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■2019年にNHKが放送したミニシリーズ、『令和元年度版怪談牡丹燈籠』のなかから、いわゆる怪談部分だけを抜き出して再編集した一作。そもそも、本放送は怪談よりも尾野真千子主演の通常の時代劇部分の方に力点が置かれていて、怪談部分はあまり感心しなかった記憶がある。あくまで脇筋という扱いだった。

■その後、年末に再編集版が放送され、録画してあったが、やっと観ることができた。正直なところ、怪談としてはあまり成功していない。源孝志の資質というか、志向が、恐怖演出ではないからだ。新三郎のもとに通ってくる亡霊の描写がなぜか吸血鬼だったり、キョンシーのように操演でピョンピョン飛んだり、VFXのエフェクトがプラグインそのまま使ったような安易なものだったり、怪異描写にこだわりがない。少なくともそう見える。

■伴蔵とお峰の小悪党夫婦が段田安則犬山イヌコで、コミカルに演じるけどこれもいまひとつ弾けず、お峰殺しの河原のロケなども、夜景のツブシが苦しくて全く凄惨な情緒が出ていない。時間がないので撮影所の近所の池でロケ済ませましたって風情。ここは嘘でもスモークを濃く張ったステージ撮影が望ましいところ。

■ところが一方で妙に気合が入っているのがお露を演じる上白石萌音という若手女優で、映画『舞妓はレディ』で大注目された逸材らしいが、ほとんど初見。顔が妙にまるまるしているので、幽霊には似つかわしくないのだが、新三郎と初めて会うなり恋焦がれて憤死する気性の激しさを秘めた娘で、その性的なパッションの発露はむしろ死後に開花し、夜ごと新三郎の閨に入り込むと情熱的なキスを交わす。

■このあたりの描写が妙に生々しくて、最新の4K映像がライブ感をもって精細に描き出す。上白石萌音は積極的に舌を差し込み、月明かりの逆光の中に、二人の唾液がツーっと糸を引いてキラキラ輝く様を精妙に描き出す。このエロさが本作の一番の見所だし、4K映像の実験作として製作された本作を観たNHK東映京撮関係者は皆、感嘆したことだろう。「この女優、本気やで」と。コロナ以前ならではの演技といえ、今では考えられないメソッドではある。

■いや、これこそ監督のこだわりで、二人はなにかの液体を口に含んでいたのか、あるいは後からCGで足したのであれば、それはそれで凄いことだが、さすがにそこまでのこだわりはないと思うが、どうか。

参考

▶こちらがオリジナル作品です。尾野真千子演じる、怪談じゃないドラマ部分が見応えあり。
maricozy.hatenablog.jp
▶牡丹燈籠の怪談物語は各種観てますよ。でも山本薩夫の映画についての記事がないなあ。シナリオも持っているのに!
maricozy.hatenablog.jp
maricozy.hatenablog.jp
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