SP映画の良作『美しき抵抗』

基本情報

美しき抵抗 ★★★
1960 スコープサイズ 59分
企画:大塚和 原作:中村八朗 源氏鶏太 脚本:原源一 撮影:間宮義雄 照明:安藤真之介 美術:松井敏行 音楽:八洲秀章 監督:森永健次郎

感想

■いわゆる二本立て興行の添え物映画、SP映画(シスター映画)なので上映時間はたったの59分、出演者も若手育成の観点から有名スターは出てません。そもそも誰が主役なのかも明確ではない。ポスターでは沢本忠雄がトップだが、映画では完全に脇役でほとんどアップすら無い。実質の主役は松波家の主婦、高野由美だろう。企画が大塚和なので、日活の文芸路線ですね。
■シンプルなホームドラマなのに導入が妙に大上段から始まるのだが、要は松波家の家長である助教授が大学に残って教授を目指すか、製薬会社や民間病院に天下って高額報酬を得るか、どっちを選ぶのかというお話に、一家の三姉妹のそれぞれのエピソードが絡む。結局は、娘たちに批判される従順なおとなしい主婦だったはずの高野由美が深遠なる母性本能を発動して、あなたは好きな研究をすればいいの、あなたのことは息子代わりだと思ってるから、という問題発言で回収される。
■三姉妹は香月美奈子、沢阿由美、吉永小百合で、さすがに吉永小百合の溌剌さが際立っている。この年に正式に日活と専属契約を結んでいるから、いわばお試し期間中なのだが、たしかに素質の違いは誰が観ても分かる。
■監督が森永健次郎だからなのか、撮影が間宮義雄だからなのか、ホームドラマなのにやたらとキャメラがクレーンとカドリーで動き回るのが凄いけど、ちゃんとしたセットも組んだ贅沢なモノクロ撮影。なかなかの良作なのだ。
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