これが日活ヤング&フレッシュだ!『青春ア・ゴーゴー』

青春ア・ゴーゴー

青春ア・ゴーゴー

  • メディア: Prime Video

基本情報

青春・ア・ゴーゴー ★★☆
1966 スコープサイズ(モノクロ) 94分 @アマプラ
企画:笹井英男 脚本:伊奈洸、千葉茂樹 撮影:山崎善弘 照明:高島正博 美術:大鶴泰弘 音楽:伊部晴美、脇野光司 監督:森永健次郎

感想

■エレキ好きの若者たちがンドは集まってヤング&フレッシュというエレキバンドを組んで、たまたま合流した混血の少女をボーカルに歌合戦に出ると、少女だけがプロにスカウトされてバンドは解散してしまうという苦い経験を爽やかに描く青春歌謡映画。

■テーマソングは日活の若手俳優で実際にエレキバンドを組んでいた山内賢、和田浩次、杉山元らが演じて、後にシリーズ化する。本作はその路線の嚆矢で、当時の青春スターだった浜田光夫が主演という形だが、楽器ができないから完全に脇役で、実質主役はヤング&フレッシュの面々。そして、少女というか幼女に近いジュディ・オング

■お話はシンプルだけど、楽曲が魅力的なのが日活のこの路線の魅力で、モノクロ、スコープサイズで手持ち撮影を多用して即興的な、ドキュメンタリー的な手法が生かされる。監督は当時既におじさんの森永健次郎だけど、撮影は働きざかりの山崎善弘なので、撮影部のアドリブと自主的な取り組みが発揮されたものと思われますね。ただ、同時期に大充実期を迎えていた姫田班と比べるとまだ甘いなあ。

浜田光夫が憧れる、山内賢の妹役がなんと太田雅子時代の梶芽衣子で、まだ殺意は発散していない。儲け役なのはスパイダースのマネージャー役の波多野憲という人で、非常にリアルで達者な演技を見せる。まるで本職か思うほど。基本的には当時団塊の世代の「受験地獄」として社会問題になっていた浪人生とか工員とかの、リアルな等身大の若者たちのドラマとして描かれるのが日活映画らしさで、得体のしれないブルジョア坊っちゃんが主役になったりしないのが、組合が強い日活の社風。

■アマプラの見放題は大変ありがたいのだが、画質が悪いのはちょっと難点。リマスターが云々というよりも、単純にコマ落ちしたり、変なノイズが入ってしまうのもったいない。リマスター原盤はそれなりのはずだが、配信用データへの変換が簡易方式(?)なのだろう。もともと低予算なのでそんなに精細な撮影ではないと思うが、もっとキレイになるはず!と思う。
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