- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2011/08/27
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■というお話かどうかはよくわかりませんよ。はっきりしたお話はなくて、学生映画サークル(しかも高校生!大学生かと思ったよ)を舞台としたいかにも学生の自主映画風の幻想映画。そう、これは一種の幻想映画として楽しむべき。十分に娯楽映画的な幻想映画に仕立てることもできたはず。なにしろ、脚本には佐々木守も参加しているからね。もう少し一般人にも理解しやすい娯楽映画テイストに作ってもよかったと思うよ。正直。
■しかし、本作、当時の吉田喜重ほどではないにせよ、日常の東京の風景を非日常的、非現実的に切り取ることに成功していて、当時の円谷プロドラマにも通じる肌合いがある。いかにも実相寺的なカットやシーンが散見されて、大島、吉田、実相寺といった一派(?)に共通する非現実感が一種の未来志向を感じさせるのだ。ビルから投身自殺した男は自分自身だったという幻想譚をファンタジーとして構築しても、同じテーマは語れるのではないかと思う。東京の戦後はもちろん過激派学生による東京戦争のそれだけではなく、太平洋戦争で焼き尽くされた記憶も無意識下で重ね合わされているはずだ。
■革命戦争ではなく、ボクらの戦後は、戦後の何気ない単純な日常風景との戦争であって、それは迷宮的な円環の中に閉塞するのではなく、常に更新され、塗り替えられてゆく運動であるというのがこの映画の主題(?)だろうが、ほんとはもっとメロドラマ的に、学生運動挫折メロドラマとして作ってくれると大好物なんだがなあ。
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