基本情報
Far From The Madding Crowd ★☆
1967 スコープサイズ 168分 @NHKBS
感想
■19世紀のイングランド、農場を相続したバスシバ(ジュディ・クリスティー)は隣の農場主のボールドウッド(ピーター・フィンチ)にずっと求婚を受けているけど、なぜか遊び人風のトロイ軍曹(テレンス・スタンプ)と結婚してしまう。でもこの男の本当に愛した女は別にあって。。。
■というお話だけど、どこが面白いのか理解に苦しむ3時間映画。厳密には3時間を割るけど、ちゃんとインターミッションが入るから、製作陣としては3時間映画を作ってますよという覚悟がある。
■でも単純にメロドラマとして面白くなくて、19世紀のイングランドで、農場を相続したジュディ・クリスティーが、テレンス・スタンプ、アラン・ベイツ、ピーター・フィンチの三人からモテモテという、それだけの話。ヒロインの人間像になにか閃きがあるか、強烈な主張があるかといえば、無いのだ。
■農夫から軍曹になり、軽薄な色男のようでもあり、何か憂いを秘めているようでもあるテレンス・スタンプの七変化が見どころとはいえ、溺れ死んだと思ったら、あんなことになり、死美人にキスしたと思えば、最終的に射殺されるという、波乱万丈(というか意味不明)な人生なのに、ちっとも面白くない。
■ニコラス・ローグのロケ撮影は秀逸で、雄大な情景を湿った空気感もろともに描写したあたりはさすがに大作らしい風格があり、見ごたえがあるけど、それだけじゃ3時間持たない。人間たちよりも、動物たちの描写にこだわりが感じられ、バカな(狂った?)牧羊犬に追い込まれて羊が崖から落ちて全滅する場面や、鼓腸症の羊の腹にパイプ(?)を刺して強制的にガス抜きする場面とか、牧場の犬たちの営みとか、点描以上に愛着のある視線で撮られているところが見どころかも。原作がそうなのかなあ?