傑作エピソードはこれだ!2016年放映『ウルトラマンオーブ』備忘録(暫定版)

【最終更新 2023/7/27】
■ニュージェネレーションシリーズ第3弾(でいいの?)の『ウルトラマンオーブ』ですが、そういえば田口清隆がメイン監督だったのですね。オーブといえば、主人公が風来坊というのもいいけど、松浦雅演じる夢野ナオミがハツラツとして良かったよね。でも松浦さん、体調不良で引退したそう。惜しいなあ。そういえば柳沢慎吾もいい味だったし、もちろんジャグラスジャグラー(青柳尊哉)のインパクトも強烈だった。青柳尊哉は田口清隆と寄り添って、すっかりニュージェネの顔になってしまいましたね。でもあまり個別のストーリーは印象がなくて困ります。とりあえず暫定的に記憶に残る傑作エピソードを備忘録として残しておきましょう。

第9話「ニセモノのブルース」(脚本:中野貴雄、監督:冨田卓)第18話「ハードボイルド・リバー」(脚本:瀬戸大希、監督:武居正能)はどちらもウェルメイドなエピソードだけど、取り立てて傑作というほどのことでもないですね。確かに、破綻は少ないのだけど。

■むしろ、 第23話「闇の刃」(脚本:幸修司、監督:市野龍一がかなり良くて、特撮シーンが冗長なのは残念だけど、

ガイ「誰かを守りたいと思う心が、俺に限界を超えた力を与えてくれる!」
(中略)
ジャグラー「な、なんだこの力は!?」
ガイ「お前が、捨てた力だ!」

の場面は、傑作。本シリーズの最高潮、白眉と言ってもいい気がする。いや間違いなく白眉。かつて競い合ったオーブとジャグラーの明暗を分けたもの、それは「誰かを守りたいと思う心」の有無だった。それを一言で言いきった名台詞であり、名場面。

■でもそこにはさらに逆転劇があり、ジャグラーの意外な行動が明かされることに。「誰かを守りたいと思う心」はウルトラマンだけのものなのか?ジャグラーの心の奥で、一瞬の光が煌めく瞬間が。。。

■取り急ぎ、以下の2記事を参考に貼っておきましょうか。
news.denfaminicogamer.jp
news.denfaminicogamer.jp

第22話「地図にないカフェ」(脚本:勝冶京子、監督:市野龍一

大河ドラマの本線はオジサン世代には全く響くところのないシリーズだったけど、『地図にないカフェ』は傑作だった。ウルトラシリーズに残る傑作回。”地球侵略”という「夢」破れて故郷に去ってゆく宇宙人たちの寓意があまりにも哀切。”地球侵略”のところはそれぞれに置き換えられるけど、基本的に青春の挽歌。これぞ円谷プロテイスト。

■ブラック指令はかつての地球侵略の野望(青雲の志)を忘れていまや喫茶店の店主におさまってなんとなく地味な日常に満足している。でもかつての異星人仲間たちは「夢」を諦め、大きな危機が迫る地球を見限ってそれぞれ故郷に旅立つ。そんななか相棒のノーバだけはかつての志を忘れていない。

■ノーバが地球侵略という最後の反抗を試みると、ブラック指令の心の奥に残った熾火のような青春の「夢」が反響する。お前だけは忘れていなかったのか!という実に泣かせるお話で、「ウルトラマンギンガS」の「忘れ去られた過去」でシェパードンがそうであったように、人間や異星人は時代に適応するという建前でたやすく変節してしまうけど、怪獣だけは最初の志を忘れはしない、それどころか、時空を超越した怪獣こそが、命という制約のもとで時とともに変節しやすい人間や異星人に、忘れてしまったいちばん大切なことを思い出させる存在であるという、ウルトラシリーズの新展開が貴重。それらの視点が女性脚本家にもたらされたことも意義深いものがある。


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第24話『逆襲の超大魔王獣』(脚本:小林雄次、監督:田口清隆)

■最終回の直前。力作で結構な味わいでした。

原知佐子がやっと円谷プロでキャリアにふさわしい役を演じることになりました。それだけでめでたいし、名シーンでした。「ギンガS」なんか、同じく田口監督の起用だけど、アパートの管理人で完全なチョイ役だったからね!佐野史郎は大好きなゴジラにもウルトラにも出演はするものの、なぜそのタイミング?という絶妙に外した作品に登場する。本作も、正直見せ場がないし、何故わざわざ佐野史郎?という感じ。一種の名誉職か?

第25話「さすらいの太陽」(脚本:中野貴雄、監督:田口清隆)も悪くないけど、24話でジャグラー松浦雅を背後から斬り捨てるのはさすがにあざといし、最終的に松浦雅の明るいキャラクターが生きてなかったのは残念。オーブとジャグラーの和解はいいけど、なんでナターシャを助けたのかよく分からないし、そもそもなんでナターシャなのか最後まで理解できなかった。。。ナターシャ?

■マガタノオロチは田口監督らしいボリューム感たっぷりの大型キグルミで、田口監督らしい合成カットはいくつかあるけど、さすがに全体的に大味ですね。ボリューム感たっぷりの大型キグルミといえば、ウルトラマンタイガのウーラーが意外と良かった気がする。


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