ニュージェネレーションが加速する!2015年放映『ウルトラマンX』備忘録

【最終更新2023/7/21】
■ニュージェネレーションシリーズの「ウルトラマンX」は田口清隆がメイン監督ということもあり、ハード路線でミニタリズム描写多めです。予算は少ないのに立派な基地(もちろんミニチュア)まで登場するので、リキ入ってます!隊長が神尾佑で副隊長が月船さらら(元タカラジェンヌ!)という、おとなの美男美女コンビなので、それだけで淫靡な気持ちが、むふふですね(なにを期待している?)

■特に印象に残ったのは以下のエピソードですね。全体のストーリーラインはあまり覚えてないけど、個別のエピソードで記憶に残るものがあります。ウルトラはそれでいいんですけどね。ある意味、本作の印象が良かったのは、変なライバルとか敵を設定しなかったからですね。変な敵が登場するとどうでもいいような会話を延々と聞かされて、怪獣が活躍しないから困りますね。ちなみに、この時期の撮影監督は髙橋創が担当していました。

第1話「星空の声」(脚本:小林雄次、監督:田口清隆)

■なんといっても、ベムラー、バニラ、アボラス、マグラー、ペスターペギラと続々登場する人気怪獣たちが嬉しいですね。新怪獣デマーガも王道のフォルムで大変結構です。田口監督のミニチュア特撮の新趣向もグーで、やる気満々です。アクションカメラで超仰角のショットを撮ります。でもまだ後の作品に比べるとミニチュアセットも控えめって感じなんですよね。

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第10話「怪獣は動かない」(脚本:柳井祥緒、監督:富田卓) 

■いかにもウルトラマンらしい王道の怪獣回で傑作。坂根村の休耕田に定着した怪獣ホオリンガは徐々に衰弱してゆくが、それは死にゆくのではなく、村の伝承によると、ある役割を果たしつつあるのだった。というSFであり、寓話であり、詩ですね。素晴らしい傑作。昔なら太田愛が書いたかもしれない。

■そして花粉症の脅威を明確に描いたところもさすが。ありそうでなかったからね。

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第18話「ワタルの恋」(脚本:黒沢久子、監督:辻本貴則) 

■辻本貴則は本シリーズでウルトラ初参加ですが、この回も往年のウルトラマンらしいとぼけた変則回、傑作回で、実相寺昭雄クラスの外し方。そして辻本監督のミニチュア特撮(特にミニチュア車両)に関する偏愛が素敵。

■でも改めて見直すと、特撮演出では「星の記憶を持つ男」(脚本:小林弘利)「星を越えた誓い」(脚本:小林雄次の方が特徴が顕著ですね。これも最近の作品に比べると低予算だけど、特に気の利いた合成カットの演出は出色。やはり自動車絡みのカットには強いこだわりがあり、実写のパトカーの前に巨大なルディアンの足がフレーム・インするとか、これもルディアンの俯瞰の足元に実写の車が走り込むとか、素晴らしい合成カット。ただ、ドラマ的にはいいところを狙いながら無理のある展開で、説得力がなく、残念。これは脚本の問題。

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第20話「絆 -Unite-」(脚本:小林弘利、監督:阿部雄一) 

■まさかのウルトラマンネクサスの続編登場で、古参ファンは感涙の嵐。監督はネクサスのメイン監督だから、感激もひとしお。お話は特に優れたものではないけど、台詞で「絆、ネクサス」とか言われると、単純にぐっと来ますよね。

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第21話「美しき終焉」(脚本:小林弘利、監督:田口清隆)

■これもドラマ的にはあまり特筆すべき点はないけど、なんといってもグリーザのデザイン、造形、アクション、VFX、音響効果の気持ち悪さが出色。光学作画にはわざわざ飯塚定雄(この頃、まだまだ現役!)を迎えて、本家本元の由緒正しい怪光線を描写するぞ!

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■こうして遠い記憶を辿っていても「ウルトラマンX」はニュージェネレーションシリーズのなかでも出色だったと思いますね。「ウルトラマンギンガ」「ウルトラマンギンガS」ときて、製作体制がかなり充実してきた頃のシリーズです。それはもう「ウルトラマンギンガ」の見事になんにも無い特撮セットに比べると異次元の充実ぶりですよ。主役の大空大地(高橋健介)をはじめ、配役も大充実だったけど、惜しいのは、たった22本しかないことで、え。もう終わり?て感じでした。このメンバーで1年間製作してほしかったところです。そこは本当に残念だと思いましたね。副隊長の活躍をもっと観たかったよね!もういちど観たくなってきたなあ。



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