アウター・リミッツ S2「見知らぬ宇宙の相続人」「宇宙からの使者」

#42,43 見知らぬ宇宙の相続人

ベトナム戦争で脳を射撃された4人の兵士の脳内で本人とは別の脳波が発動し、超人的な知能指数が確認される。銃弾はハニカム状の金属でできていて、空隙に充填されたRNA様の成分が脳内に放出されたらしい。4人は姿を消すが、リーダー格と目されるミンズ少尉が先物取引で大金を手にすると、残りの3人に送金していることがわかる。。。

■という結構ハードな純粋SFドラマで、クリーチャーが売りの本シリーズではかなりの異色作。しかも前後編の2部構成で、後編で彼らが何を目指しているのかが判明する、正統派のSFサスペンスで、かなり上出来。

■主演は名優ロバート・デュバルで、狂言回しでもあるが、最終的に彼らの真意の理解者になるから堂々の主演です。脚本もよく書けているからさすがに説得力があります。対する4人の兵士たちの配役も上出来で、それぞれの人間像がちゃんと描き分けられているから立派。セリフもよく書けていいるし、配役も見事。それぞれ脇役たちが見せ場をもらっているのも見事なもので、それぞれの証言が演技的な、芝居の見せ場になっている。かなり芝居のわかった脚本家のようだ。特にミンズ少尉を演じるスティーブ・インハットという人、凄い個性だね。東京で反重力エンジンを開発するジェームス・フローリーも、障害忘れられない強烈な個性派。この人、後に監督に転身したのかな?本作、演技合戦がちょっと凄いレベルだよね。南ベトナム兵役でジェームズ・シゲタまで登場するから、異様な力作ですね。どしたのコレ?

■最終的な事件の真相については、いろいろと異論もあるところだが、ベトナム戦争たけなわの60年代当時の厭戦思想がストレートに反映しているところも興味部深い。太田愛の書いた傑作「少年宇宙人」なんかも想い出すところだよね。両方とも必見の名作。

■なお、『キューポラのある街』を連想するむきもあるようだが、たしかにそれはちょっと感じるところがある。有意義な指摘だと思う。
maricozy.hatenablog.jp

#44 宇宙からの使者

■宇宙人アイカーが人間の感情を学ぶために、交換条件として科学者に難問の方程式の解を教えるという。悪魔の取引に応じると。。。

■進化した宇宙人が人間の感情や愛情を学んでいく様子が見どころで、悪くはないけど、クライマックスの活劇シーンが冴えないのはこのシリーズの宿痾。アイカーと科学者の恋人が交流してゆく部分がドラマ的な見どころで、いまどき政治的に正しくあるべき立場からはなかなか口にできない進化した人類の有りよう(不都合な真実?)をアイカーがストレートに語るのが最高に面白いのだけど、本作の見所はそこに尽きるよね。

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