アウター・リミッツ S1「肉体の侵略」「宇宙へのかけ橋」「宇宙人の落し子」

#19 肉体の侵略

■いかにもジョセフ・ステファーノの脚本らしい、辻褄が曖昧で詰めの甘いお話だが、なんといってもコンラッド・ホールが撮っているので、映像だけはやけに立派。監督はジャド・オズワルド。

■米国の地方セレブは密かに霊族に支配されていて、その支配の媒介として(?)巨大な虫のような宇宙生物から人間に霊族の精神を(?)寄生させる必要があった(らしい)。という、わかったようなわからない道具立てで、地方都市の隔離施設が前半、後半はワシントンで政府高官に霊族を寄生させようと図るが、その命を受けた男が実は潜入捜査官で。。。

コンラッド・ホールの異様に表現力の高いモノクロ撮影のおかげで、脚本の合理性の欠如をカバーしてしまい、なんだか高級な寓話を見たように錯覚してしまう。でもそんな錯覚を楽しむのが、このジャンルの作法だね。

#20 宇宙へのかけ橋

■レーザー研究の途上、宇宙空間を旅する宇宙の旅人が降りてくる。まるで童話のような話だが、ホントの話だ。だが、科学者の妻は、宇宙人の持っている万能シールド装置に夢中だ。この技術を盗んで一攫千金を企むと、メイドと共謀して、こともあろうに宇宙人を撃ち殺す。。。

■監督はジョン・ブラームだが、これも撮影がコンラッド・ホールで、映像設計は完全に怪奇映画なのが嬉しい。このシリーズって、主役の脇になぜか怪しげな執事やメイドが影のように付き添っていて、犯罪行為を助けたりする。今回はチタ・リヴェラという女優が雰囲気たっぷりに怪演する。この女優、実はミュージカル界の大スターらしい。トニー賞3回受賞の、ミュージカルの神様とも呼ばれる存在。このシリーズ、低予算ムード満点だけど、何気に配役は豪華なのだ。

■科学者のマーチン・ランドーもいいけど、難儀な嫁さんのサリー・ケラーマンが熱演する。ただ動機が弱い気がする。ちなみに今年亡くなられたようです。メイドと一緒に殺した宇宙人の死骸を地下のワインセラーに運び込み、埋めちゃいましょうかと密談するあたりは珍妙だけど、怪奇映画ムードは100点満点。セリフは少ないのに、異様にチタ・リヴェラを念入りに描くコンラッド・ホールキャメラアイの冴えは至宝。通常テレビ映画の場合、このあたりの映像設計は監督の指示はなく、撮影監督の判断だけで動きますからね。

#21 宇宙人の落し子

■タイトルのとおり、宇宙人が5人の落とし胤を回収しに来るお話。野蛮で無知な地球に残っても仕方あるまい、母星エロスは理想郷だぞと説得するが、片田舎で差別され不遇な半生を送ってきた青年が最後に何を選択するか。。。

■という、いい話なんだけど、脚本も演出も中途半端な感じで、あまり説得力もない。

■監督はレオナルド・ホーン、脚本はアンソニー・ローレンスで、撮影監督はケネス・ピーチ。よく言えばドキュメンタルな映像スタイル。意地悪に言えば、照明も構図も雑なので、1カット見ればコンラッド・ホールじゃないと分かる。

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