君は帰山教正を知っているか?お手伝いさんは映画フリーク!『おゆきさん』

基本情報

おゆきさん ★★★
1966 スコープサイズ(モノクロ) 80分 @アマプラ
企画:坂上静翁 原作:塩田良平 脚本:倉本聰 撮影:藤岡粂信 照明:美術:木村威夫 音楽:池田正義 特殊撮影:日活特殊撮影部 監督:鍛冶昇

感想

■鍛冶昇の監督デビュー作だけど、なかなか得体のしれない映画で、掴みどころがない。お話のスケール感としても完全にテレビのホームドラマのタッチだし、主人公のおゆきさんは大変な映画マニアで、中学しか出ていないけど、人生で大切なことは映画で勉強したというツワモノ。あなた、帰山教正って知ってますか?映画藝術協会ですよ!

■大学教授の家にお手伝いさんとして働き始めたおゆきだが、その家の主人とはまるで実の父娘のように馴染んでゆくというお話を、まるで小津安二郎のように物語る。なにしろ大学教授は笠智衆で、準主役クラス。大学の同僚教授が浜村純というのも乙なもの。

■でも一番グッと来るのは、花屋のロクちゃんを演じる松山省二で、おゆきとは幼馴染だけど、結局ふられてしまう役で、「バラが咲いた」を寂しく歌う場面はしみじみ泣けるよね。この人物が一番真に迫っている。もちろん「怪奇大作戦」前夜ですよ。そして伝説の「若者たち」の後の撮影だろうか。

■ちなみに、特殊撮影はテレビ画面のはめ込み合成に使用されている。日活の場合、特撮関係のクレジットは出たり出なかったりで、基準がよくわからないのだが。

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