若者はゆく 続若者たち ★★★☆

若者はゆく
1969 スコープサイズ 98分
日本映画専門CH
脚本■山内久
撮影監督■宮島義勇 照明■鈴賀隆夫
美術■山下宏 音楽■佐藤勝
監督■森川時久

■三部作の2作目では、昭和44年を舞台に、田舎から東京に一人で出てきたミツという娘に注目し、仲代達矢のナレーションで展開するという異色のスタイル。何故か本作だけが、年長者が若者たちに教え諭すといった形式になっている。それと並行して、詐欺に引っかかる長男、就職試験に失敗する三男といったエピソードが描かれる。次男は元労働運動指導者との腐れ縁に苦しむマチ子との関係を深めてゆくし、長女は被爆者の青年への想いを断ち切れない。

■本作も演技的な見せ場は豊富で、特に佐藤オリエ反戦デモ行進のなかに石立鉄男の姿を発見して後を追うシーンはドキュメンタリー的な撮影ぶりも含めて傑出して感動的だし、鶴田忍、原田芳雄といった濃い面々での就職試験で追い詰められる山本圭、面接失敗で家で荒れる山本圭といった名場面は忘れがたい爪あとを心に残す。映画版はドラマ版に比べて、演技も少々過剰気味になっているが、日本映画でこれほど熱くて実のあるディスカッションドラマは珍しい。

■この時期田中邦衛は無責任な金持ちのボンボンである青大将を演じていたわけだが、正反対の役柄を同じように癖のある独特の演技で演じきって感動的だし、山本圭とか佐藤オリエはもうほとんどアイドル扱いですよ。飛びぬけて演技が上手いけど、観ているともう好きにならずにいられない人物造形だし、演出なわけですよ。山本圭が「それは違うな」と言い出すと、来た!と萌え狂うわけですよ。そして結構リアルに捉えられた昭和44年にも萌える。

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