『シネマの画帖―映画美術監督西岡善信の仕事と人々』

■カラーページも豊富で、紙質も上等なので保存版としたいところだが、少々値が張るので図書館で借りてきたのだが、これは手元に置いておきたい、なかなかの良書だ。西岡善信の自筆によるデザイン画の絵としての魅力も味わえる。
西岡善信による監督たちのエピソードも興味深く、山田洋次は生真面目一方の性格で、「たそがれ清兵衛」のラストの立ち回りで戸板が外れて黄色い花が鮮烈に画面に飛び込んでくるアイディアも、山田洋次らしくないと思っていたら、西岡善信のアイディアだったらしい。コーエン兄弟と準備していた「白い海へ」(ブラピと高倉健の競演!)が9・11テロの影響で頓挫したというエピソードも興味深い。
森一生の佳作「怪談蚊喰鳥」の見事にリアルなオープンセット(誰しもロケと思うよ)のデザイン画も当然収録されているし、「御法度」のラストの野面のデッサンも自信たっぷりに披露される。この本は古本でもいいからぜひとも所有したい。
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