あゝ私もソルのように死にたい『ソイレント・グリーン』

基本情報

ソイレント・グリーン ★★★
Soylent Green 1973 スコープサイズ 97分 @APV

感想

■言わずと知れた、リチャード・フライシャー監督によるSF映画の佳作。超有名映画といっても過言ではないが、なぜか観る機会が無かったもの。今更ながら観たけど、非常に感慨深い映画。
人口爆発と資源の枯渇で終末期を迎えた近未来のNYを舞台に、ソイレント社の重役の殺人事件を追う刑事ドラマになっている。近未来とはいえ、美術装置の未来感はむしろ70年代テイストを素直に反映しており、登場人物の髪型とかも含めて、70年代の終末観を表現した感じだ。撮影のリチャード・H・クラインの重厚なキャメラワークも良い感じで、70年代のファッションを味わう映画でもある。
■ジョセフ・コットン演じるソイレント社重役は何を知ってしまったのか?その種明かしはあまりにも有名だし、主人公の相棒であるソルの終末施設での荘厳な最期も語り草。この場面はテクニカルな趣向としては単純なのだが、今見ると、ホントに一種の宗教的な崇高さと厳粛さを纏っている。ここで最期を遂げることは、すなわち〇〇ということなのだが、それをわかっていても、人生の最期を自分の意志で安楽死を選択することは理想的な死の姿に見える。生まれ方を選ぶことはできないが、人間は自分の死に方を選ぶことはできるのだ。その意義について深く考えさせられる。
■既に人間を「本」とか「家具」と呼び習わしている近未来、遂に人間を「家畜」とするに違いないと警告して映画は幕を閉じる。映画としてはコクが無く、平凡な映画だと思うが、物語の視点と傑出した名場面の価値はまったく色あせていない。主演がチャールトン・ヘストンというのは、完全にミスキャストだなあ。