ホラー映画とタヌキ顔『貞子』

基本情報

貞子 ★
2019 ヴィスタサイズ 99分 @アマプラ
原作:鈴木光司 脚本:杉原憲明 撮影:今井孝博 照明:木村匡博 美術:塚本周作 音楽:海田庄吾 VFXスーパーバイザー:立石勝 監督:中田秀夫

感想

■『リング』の正式な続編が公開されていたことすらほとんど記憶にないのだが、『貞子DX』が公開されるので、予習のつもりで観ましたよ。しかも非常に評判が悪いので恐る恐る観てみると。。。

■確かにこれはダメでした。。。怖くもないし、面白くもない。脚本段階で救いはなかったと思われます。この脚本を任された中田秀夫の胸中を察すると、余りあるものがあります。演出でどうにか取り戻せるレベルではない。しかも、主演女優はなぜかタヌキ顔。

■主演女優にはなんの恨みもありませんよ。でも、ホラー映画にタヌキ顔はどうなのか?中田秀夫も当然に悩んだはずですよ。あてがいぶちの雇われ仕事とは言え、こりゃ、おえりゃせんわ(岡山弁)と。

■とにかく、超能力者を作劇に安易に使うからこんなことになるので、お話のロジックもゆるゆるだし、怪奇なギミックの面白みもない。千里眼の能力を太平洋戦争中に軍部が利用しようと画策し、その狂った実験が悲劇を生んでとか、戦後のキャノン機関が超能力者をスパイに使おうとして失敗し、といった日本の近現代史の秘部を絡めた面白展開は・・・一切なし。マイク・フラナガンなら絶対そんなお話に仕立てるよね。邦画の腰の弱さだ。

■大島の通りすがりの老婆が吉村実子というのも、消化不良。こってりとした語りで残酷な秘話を明かすのかとおもいきや、単なる通りすがり。北林谷栄が生きていれば、完璧だったけど、そうはいかないのが現代の悲劇というもの。でもああ、勿体ない。中田秀夫はもっと自分の信念を主張すればいいのにね。
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■『貞子DX』には密かに期待しているのだが、ちまちまやってる場合じゃなくて、ど派手に『ゴジラVS貞子』とか作ればいいと思うぞ。真剣にそう思う。井戸じゃなくて、富士山の噴火口とか、巨大なワームホールから巨大な貞子が出現するのだ!その前に『貞子VS貞子ガス人間』とか『貞子VS液体人間』とか『貞子VS火炎人間』でもいい。どうせ低予算なんだから、どんどん風呂敷を広げると良い。


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参考

ナチスの邪悪が当然のように現代に蘇る!それでいい!だから面白い!マイク・フラナガンは侮れないぞ!
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中田秀夫なら、最新作のこれのほうがよほど面白い。吹っ切れたのかな。
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鈴木光司の原作物では、これが意外と秀作。立派な怪談映画で見応えがある。
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