怪獣島から還ってきた小野田さん!『キングコング 髑髏島の巨神』

■久しぶりに『キングコング 髑髏島の巨神』を再見してみたよ。ベトナム戦争終結時期を設定して怪獣たちの歴史と人類の現代史をリンクさせた刺激的なアイディアなのに、それが十分に生かされず、小ネタにとどまったところが、やはり残念で食い足りないと初見時に感じたところだが、改めて再見すると、やはり戦争がテーマとして芯棒になりえているのは感心した。

■第二次大戦中にゴジラに沈められた戦艦からひとり生還した男、秘密組織モナークの怪獣博士のジョン・グッドマンがあっけなく死んでしまうのも非常に勿体ないが、ほんとうの主人公はジョン・C・ライリーが演じる元中尉で、この男は第二次世界大戦中に髑髏島に不時着し、日本兵呉越同舟のサバイバル(『太平洋の地獄』?)を体験しながら、親切な(?)原住民のおかげで生き残り、本国に生還を果たす。

■ヒロインのブリー・ラーソンなんて、メイキング映像のおちゃめな姿のほうが魅力的で、映画の中ではちっとも弾けないのが残念だし、勿体ない。要は、映画の中で何も人間性が変化しない、つまりドラマが用意されていないわけだ。

■その意味で、元中尉は、敵対する日本兵との和解して協力し、原住民とも仲良く付き合い、髑髏島の掟に従ってコングを崇拝し、地底から湧いて出る大トカゲを忌避し近づかないことによって、ついに祖国の家族のもとに帰還することができたのだ。柔軟に変化し続けることで生き延びて、ホームに帰還した男。だからこの男にはちゃんとドラマが用意されていたというわけ。これに対照的に登場するのがパッカード大佐で、ベトナム戦争という負け戦で不完全燃焼だったため、戦争に拘泥し、平和の時代に順応する変化を拒否する存在だ。だから、滅び去るしか無いのだ。

■というわけで、トム・ヒドルストンとかブリー・ラーソンはどこまでいっても狂言回しだったというわけだね。


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