■ベトナム戦争が停戦を迎えたころ、ランドサットが発見した謎の島の資源調査に向かった一団が遭遇したのは巨大なゴリラだった。もちろん資源調査は名目で、秘密機関モナークの怪獣探査が真の目的だ!とんだ怪獣島に乗り込んだ米兵たちは次々と怪獣たちの餌食に!
■『南海の大決闘』『決戦!南海の大怪獣』『キングコングの逆襲』等を踏襲したれっきとした東宝特撮映画の系譜。ピーター・ジャクソンのキングコングはオブライエンにオマージュされたが、こちらは明らかに東宝コング。巨大すぎて棒立ち状態のコングは、明らかにぬいぐるみ特撮をイメージしている。しかし、登場する怪獣たちが小粒で、しかも監督に怪獣愛が感じられないのは残念。コングと最後に大格闘を演じるのもスカルクローラーのちょっと大きいやつというのは工夫のないことだ。CGによる怪獣表現もいかにもILMのアニメといった描写で、特撮的な見せ場はあまり大したことはないよ。ピーター・ジャクソンが愛着を込めて描いたスカル島の密林の質感に比べるといかにも平板だ。怪獣たちの戦いも非常に平面的で、日本特撮でお馴染みの怪獣広場での格闘と大差ない。
■モンスターバースの世界観を設定するのが本作の主目的で、特撮的な見せ場は敢えて小粒にしてあるようだ。サミュエル・ジャクソンが自分のためのベトナム戦争を演じ始めるあたりの狂気も押しが足りないし、冒険活劇としての作劇はかなり弱い。ヒロインの反戦カメラマンの主張も無いし。おそらく脚本にはあったものがカットされているのじゃないかと推測する。このあたりがもっと手際よく描かれれば、ドラマ的にもっと充実したのにね。時代背景の設定が秀逸だっただけに、もったいないったら無い。
■でも、最後のあれで大満足ですよ。全く、なんでもありの設定ですな。