【ネタバレ御免】極悪宇宙人襲来!でもウルトラセブンはいない!誰が魔法少女を護るのか?『魔法少女まどか☆マギカ』

■一応、映画版の前後編は観ているのだが、なぜか前半の感動だけが記憶に残って、後編の印象が皆無という謎の現象があり(酔ってたのかな?)、なんとなく中途半端な認識だったのだが、今回10周年記念再放送でTVシリーズを通しで観ると、改めてその狙いや意図が鮮明になって、やっと腑に落ちた。多少間に時間を置きながら、TVシリーズを通しで観るほうが、素直に理解しやすいと感じたな。

まどかさやかは親友同士だが、この世界の裏側で魔女と魔法少女が戦っていることを知り、キュゥべえから魔法少女にスカウトされる。だが第3話でいきなり主人公たちのメンターである先輩魔法少女マミが魔女に食われて壮絶な戦死を遂げる。叶えたい切実な願いを持つさやかは、第4話でキュゥべえと契約して魔法少女になるが、第6話で魔法少女になるということは、魂がソウルジェムに移行し、身体は死んでいるのと同義であるという重要事実を知らされる。

■そして第8話では親友となっていた杏子のまえでさやかは魔女になり、第9話で戦いの末、ともに命を落とす。魔法少女が死ぬと後に残った呪いが魔女を生み出す。それがこの世界のルールだったのだ。そしてキュゥべえの真の狙いは、魔法少女が魔女と化す時に生み出される相転移のエネルギーを利用して種を存続することであった。

■第10話で、まどかキュゥべえとの契約を阻止するために暗躍していたほむらは、他次元での魔女との戦いで落命したまどかが死ぬことのない未来を作るために何度も同じ時間を生きてきた時間遡行者と判明し、まどかへの熱い思慕を吐露する。だが第11話では最強の魔女「ワルプルギスの夜」が訪れ、ほむらひとりではとても太刀打ちができない。まどかは、全歴史上の魔法少女を救い、呪いにより魔女と化すのを阻止することを願って、キュゥべえと契約する。。。

■思い出すだけで泣けてくるのが第10話以降の展開で、ほむらちゃんの健気さにはさすがにグッと来る。謎を孕んだクールな存在のほむらちゃんが、一気にまどかへの想いを吐き出すエピソードは、完全に百合系メロドラマで、その想いの一途さと強さにメロメロに泣かされる。

■物語のテーマとしては、確かに浄土宗や浄土真宗の考える阿弥陀如来のイメージが確実にあり、原作者&脚本の虚淵玄はSF的な思考実験のすえ、意識せずにそうなったものと思われる。でもなんだか懐かしい展開で、小松左京とか光瀬龍とかのSF小説を思い出しますよね。

■ちなみに、まだ阿弥陀如来が、成仏するまえの法蔵菩薩だった頃、煩悩にまみれた凡夫たるすべての人間を宿業の因果から掬い上げて救済することを請願し、その願いが叶わぬ限り成仏はしないと誓った。そして、結果としてその後阿弥陀如来は成仏を果たしている。それは事実だ。ということは?とここで逆算するのがユニークな解釈で、ということは、阿弥陀如来は煩悩多き人間を救うことができる能力を手に入れたことを意味する。だから、阿弥陀如来にすがることで人間は成仏できるという理論構成になる。いや、人間から改めてお願いするまでもなく、阿弥陀如来の本願は全人類の魂を救済することにある。そのことが認められ、それ故、そこに阿弥陀如来が実存すると考える。

■ここのところは、浄土系仏教の真髄に近いところ(のサワリ)を大幅に端折って説明してますけどね。煎じ詰めればそういうことらしい。でもこのあたりの目からウロコのアクロバット的な世界認識(宇宙認識)について、開祖法然は弟子たちに他言無用と言い残してますからね。人に言うと迫害されるに決まっているから。(実際えらい目にあった)

■というのが浄土系仏教の阿弥陀如来観ですが、たしかにこれ最終回のまどかそのものですね。上位次元の世界に転生したまどかがこの世界軸の全歴史において、魔法少女たちを救済してゆくさまは、まさに阿弥陀如来のイメージそのものでしょう。殺伐とした仲間通しの潰しあいのバトルロワイヤル系の世界観を提示したようにみせて、最終的には次元を超えた壮大な救済が描かれ、ほむらちゃんやまどかの愛の発露としての自己犠牲の精神が描かれる、これは立派に宗教ドラマに違いない。


参考

maricozy.hatenablog.jp
maricozy.hatenablog.jp
浄土宗系宗教映画としては、こちらが先輩ですね。傑作『競輪上人行状記』です。両方見ると、ああなるほどと腑に落ちますよ。
maricozy.hatenablog.jp
正統派魔法少女の傑作!あらゆる種類の感動が詰め込まれた超ドラマ。
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このアニメ映画だって、そんなに悪くはないのだ。本気です。正気です。
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