アイアムアヒーロー
2016 スコープサイズ 127分
DVD
原作■花沢健吾 脚本■野木亜紀子
撮影監督■河津太郎 美術■斎藤岩男
ガファー■中野創平 音楽■ニマ・ファクララ
特撮■神谷誠 特殊メイク・特殊造形統括■藤原カクセイ CGディレクター■土井淳
監督■佐藤信介
■東宝映画が何をトチ狂ったかと騒がれた本格ゾンビ映画。確かに、これはメジャー映画にはあるまじきゴア描写のつるべ打ちで唖然とする。しかし、それがわりと綺麗にアクション映画として回収されるので、古典的なカタルシスを生み出す。意外にも上出来なアクション映画なのだ。
■お話の展開にはダイジェスト版みたいなぎこちなさがあるし、有村架純の半ゾンビは後半寝てばかりで、明らかに続編を意識している未解決感はあるのだが、容赦ない人体破壊シーンがグロを通り越して快感になってくるからヤバい映画だ。
■主演の大泉洋がきちんと他の作品と演じ分けているのも偉くて、本当のヒーローになってゆく終盤の立ち姿や射撃シーンが素直にカッコいいこと。これが成立すれば、他の疵はまったく気にならない。それがアクション映画というものだ。クライマックスの100人斬りはやり過ぎ感がまるで韓国映画みたいで、グロを突き抜けた快感に到達する。確かに、凄いですわ。壮絶。
■合成素材撮影に村川聡や関谷和昭らのお馴染みのメンバーがクレジットされているから、クライマックスの頭部の破裂などは単純なCGではないのだろう。『進撃の巨人 attack on titan』の謎の汁気とは違う実の詰まった破裂は確実に映画的快感に貢献している。あれも素材撮影をして合成しているはずだが、何がこんなに違うのだろう。そして、あれはアクション映画になっていなかったのが最大の欠陥だった。
■ちなみに、ロレックスの腕時計を使った伏線の仕掛けが巧妙で、アクション映画における伏線として理想的な作劇になっている。こういうのを伏線というのですよ。単なる謎かけは伏線とは呼びませんからね!
■製作は東宝、エイベックス・ピクチャーズ、小学館ほか、制作は東宝映画。