風呂敷を広げたと思ったらすぐに畳んだVFX漫画映画『BLEACH 死神代行篇』

基本情報

BLEACH 死神代行篇 ★★★
2018 スコープサイズ 108分 @DVD
原作:久保帯人 脚本:羽原大介佐藤信介 撮影監督:河津太郎 gaffer:小林仁 美術監督:斎藤岩男 美術:江口亮太 音楽:やまだ豊 ポスプロプロデューサー:大屋哲男 VFXプロデューサー:道木伸隆 CGプロデューサー:豊嶋勇作、鈴木伸広 VFXスーパーバイザー:神谷誠土井淳 監督:佐藤信

感想

■霊能力が高い青年(福士蒼汰)は強大な悪霊虚(ホロウ)に狙われていた。死神ルキア杉咲花)と出会った彼はルキアの能力を吸収してしまい、死神代行として働くことに。だが、人間に情を移したルキアに対して死神世界から訴追の手が伸びる。。。

ワーナー・ブラザーズの日本映画製作チームによる有名漫画の映画化。実制作はシネバザールが担当。なにしろ、設定の説明が煩雑なので、設定の説明が終わったと思ったら、お話を回収しないといけないという慌ただしい映画で、さすがに舞台裏は苦しそう。サブキャラも正体がわかったと思ったら、もう殺されたりと、忙しいことこの上ない。でもアクションとVFXは贅沢なのでビジュアル的には退屈はしない。ランニングタイムも最近のこの手の映画にしては短いからね。

■なにしろ大作なので主人公の母親で長澤まさみが登場するからビックリ。なんで?でも一番の見所は前半の福士蒼汰杉咲花のコメディ要素で、杉咲花がなにしろキュートなので映える。剣戟アクションも頑張っているし、短身で走る姿の凛々しさがまるで古武士のようで美しい。ほんとにポテンシャルの高い良い女優だと認識しました。杉咲花が出てるから観ようと思ったんだよね、ホントは。

■後半は巨大な悪霊ホロウの出現がほとんど怪獣映画なので楽しいよね。しかも、バスステーション周りのセットを組んで破壊し、しかもデジタル合成で拡張しているあたりの大掛かりなVFX表現はさすがに贅沢で見応えがある。どこまでが現場セットでどこからがCGやマット画なのか、区別がつかない。メイキングを観ると過半が3DCGで再現されているらしいから、単純に凄いよね。まだピクチャーエレメントが倒産する前なので、大屋哲男がコーディネートしてますよ。VFXの舞台裏については、以下の記事に詳しい。
cgworld.jp

■敵役のMIYAVIの得体のしれなさとか、早乙女太一の貫禄もさすがに見事だし、配役の座組としては悪くない。ただ、興行的には失敗だったらしく、続きはなさそうだな。なにしろ設定がどんどん複雑化するようなので、長尺になりそうだしね。


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