スーパー戦隊テイスト(?)の和風中華時代劇『キングダム2 遥かなる大地へ』

基本情報

キングダム2 遥かなる大地へ ★★★
2022 スコープサイズ 134分 @DVD
原作:原泰久 脚本:黒岩勉原泰久 撮影:佐光朗 照明:加瀬弘行 美術:小澤秀高 アクション監督:下村勇二 VFXスーパーバイザー:小坂一順神谷誠 音楽:やまだ豊 監督:佐藤信

感想

■コロナ禍の直撃を受けて制作体制に苦労したと言われるシリーズ第二作。秦に侵攻する魏と蛇甘平原で大合戦が展開、信(山崎賢人)は一兵として合戦に初参加する。超人的な体技と雑兵たちのチームワークで奇跡的に敵大将の陣地に迫るなかで、敵呉慶(小澤征悦)と麃公:ヒョウコウ(豊川悦司)の大将軍同士の戦いを垣間見る。。。

■コロナ禍のなかで中国ロケはもちろん、日本各地の景勝地(?)でロケして、デジタル合成とCGで作り上げた戦国合戦絵巻は、完全に日本映画ばなれしている。本当に東映は臍を噛んでいるに違いない。うちでやりたかったのに!とね。前作では色々と東宝色が強かったけど、コロナ禍の影響もあったのか本作はスタッフが変更されている。前作でフォーマットは確定したので、大丈夫ということだろうか。人馬一体の大合戦はなかなか見事なVFXで、さすがにお金かけると見栄えは確実に良くなるんですね。

■今回の見せ場は、人海戦術の戦国合戦絵巻と、その戦術や駆け引きの描き方で、これが成功しているから、決して悪くない。特攻作戦を得意とし、兵を消耗品としか思わぬ風情の縛虎申:バクコシン(渋川清彦)はいつ、いかに動くのか?正直なところ将軍たちや武将たちの配役は弱くて、小澤征悦豊川悦司も厳しいし、渋川清彦って誰?という状態。このあたりの役者の層の薄さは日本映画の弱点だなあ。縛虎申て美味しい役なんだけど。そして、東映制作ならばこのあたりの配役は締まっただろうと思うけど。前作では石橋蓮司がいたので、ホントなら本田博太郎が欲しいところだな。

■初めての出陣あたりのプロセスが効いていて、秦軍は「伍」という5人組で戦闘するから、単騎決戦スタイルの魏の兵士を寄ってたかってなぶり殺すスタイルになるけど、卑怯じゃないから気にするなとか、チームのまとめ役が濱津隆之で、諸々の説明役なんだけど、ちゃんといい味を出すから、配役が成功している。黒澤映画でも稲垣映画でも重要な役どころだよね。内田吐夢の『宮本武蔵』も思い出したけどね。

■羌瘣:キョウカイ(清野菜名)というキャラが新登場で、殺し屋一族の生き残り。姉と慕った仲間の仇討ちのために生き、笑顔を喪った娘。その心の姉を山本千尋が演じているけど、ホントはこの羌瘣の役を演じるべきだったよね。どう考えても。とにかく信と羌瘣は人間離れした強さで、テイストとしては完全にスーパー戦隊クラスですね。ただ、羌瘣の過去のエピソードはあまり胸に迫るものがない。『あずみ』で観たからね。

■そして王騎将軍役大沢たかおの謎の漫画演技はどこまでつづくのか?これは歴史劇じゃないよ、漫画映画ですよ、だから目くじら立てないで愉しく観てねという、エクスキューズのための役作りなのかな??


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