ラ・ラ・ランド ★★★★

La La Land
2016 スコープサイズ 118分
Tジョイ京都

■いやもう、なんだか凄いね!という感想だけでいいのでは。ミュージカル映画で、数々の名作ミュージカル映画へのオマージュにもなっている映画オタクな映画で、なぜだか大林宜彦の『ハウス』を想い出したね。しかし、オリジナル楽曲の破壊力で、いろいろ気になる点や十分に気がいかない部分も帳消しになるね。

■オーバーチュアがあまりにも飛ばしすぎで、しかも壮絶演出なので、どうしても尻すぼみ感が否めないのも残念だが、2回目見ると印象が変わるに違いない。しかも、本作はフィルム撮影らしく、ステディカムの長廻しを何回か撮って編集でつなぎ合わせるという手法らしい。冒頭のあれを素で撮ったのかと思うと頭がくらくらしてくる。まあ、これだけで監督の恐るべき才能は間違いない。さらに、スクリーンサイズは普通のスコープサイズよりもさらにワイドな真正シネマスコープらしいぞ。映画館で観ないでどうする、これ!

■その後は、夜の公園での主演二人の掛け合い歌唱とダンスの場面は映画史に残る名場面。夢見るような美しさ。このシーンだけでも映画館で観る価値がある。街の夜景とマジックアワーの空の表情は合成に違いないと思うのだが、これもストレートに撮影したものらしい。リヌス・サンドグレンという撮影監督は初めて聞いた名前だが、凄い腕前。最近はデジタル撮影のせいもあって特徴のある撮影監督が少ないのだが、この個性は強烈。この夜の公園の場面は、撮影後に色調や明るさの統一など、DIでかなり細かい調整を行っているに違いないが、CGとの合成というわけではないのだな。凄いなあ、あんな画が本当に撮れるのか。

■正直なところエマ・ストーンは犬のチンみたいな表情がアップになると厳しいのだが、そんなこともどうでもよくなる楽曲の魅力。パンチあふれる演奏は、これこそ爆音上映で観たいね。

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