■作・アントン・チェーホフ 上演台本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 劇場:Bunkamuraシアターコクーン
■出演:余貴美子、宮沢りえ、蒼井優、山崎一、神野三鈴、段田安則、堤 真一、今井朋彦、近藤公園、遠山俊也、猪俣三四郎、塚本幸男、福井裕子、赤堀雅秋
■なんといても配役の豪華さで目を引くケラ版三人姉妹なんだけど、チェーホフはもともとあまりピンとこないので、本作もどこを面白がればいいのかなあという印象。ケラの潤色でくすぐりが盛り込まれているので、にやにやしながら観られるのだが、終幕以外はあまり心が動かない。
■意外だったのは堤真一が非常に舞台映えすること。いつものあの調子なんだけど、テレビや映画では胸焼けするしつこい個性が舞台ではちょうどいいバランスで収まるから不思議。あの人のエキスの濃さは舞台向きだったのか。山崎一はこれまたいつもの役柄を楽しそうに演じてくれるので、安心して観ていられる。段田安則はテレビなどで酷薄で冷酷な特殊人物を演じて説得力を持つひとだが、守備範囲の広い人で、ここでは老け役で配役の要となっている。でも、テレビで嫌味な人物を演じている方が、上手いと感じるなあ。
■蒼井優はそりゃこれくらい演じられるし、意外な感じはしない。まあ、退屈はしないのだが、それ以上に胸に迫るところのない舞台で、最近NHKで観るケラの演劇はすべてそんな感じがするなあ。