『きょうのできごと』

基本情報

きょうのできごと
2004/VV
(2004/11/27 レンタルDVD)
原作/柴崎友香 脚本/行定勲、益子昌一
撮影/福本 淳 照明/市川徳
美術/山口 修 音楽/矢井田瞳
監督/行定 勲

感想(旧HPより転載)

 京都の大学院に進学することになった親友の家に集まった仲間たちの飲み会が始まる頃、大阪の下町では一人の男がビルの隙間に挟まれて身動きができなくなり、浜辺では自殺志願の少女がマッコウクジラが漂着しているのを発見していた。一見無関係な3つのエピソードが交錯し、きょうはあしたへと移り変わってゆく・・・

 妻夫木聡田中麗奈柏原収史伊藤歩池脇千鶴らの若手俳優たちを集めた等身大の青春映画だが、誰が見ても納得できるなかなかの佳作。

 個人的には出町柳付近の深夜ロケの長廻しのシーンは生涯忘れられない名シーンとなったのだが、いかにもありそうな大学生のリアルな生活感と浜辺に横たわる「鯨神」のハリボテを髣髴させるマッコウクジラの巨体のシュールな光景との対比にも琴線を鷲づかみされるところがある。鯨の造形物にはもう少しリアリティがあってもいいのではと思うが。

 キャストは皆よく、ただの嫌な女にも見える池脇千鶴の役柄も実にリアルな感触を与えたのは演技力の賜物だろう。

 しかし、こうした映画を得意とする行定勲が「北の零年」を手がけるのは、青春映画の旗手であった大森一樹ゴジラを手掛けるのと同様の違和感があるのだが、果たして吉と出るのか凶と出るのか? 

© 1998-2024 まり☆こうじ