キャット・ピープルの呪い ★★★★

The Curse of the Cat People
1944 スタンダードサイズ 70分
DVD

■傑作『キャット・ピープル』の続編だけど、ホラーではなく少女が主演するファンタジーになっている。それでも前編に劣らない傑作。ニコラス・ムスラカというイタリア人撮影監督の腕の凄さを知りたければ、この1本だけ観ればいい。

■友達のできない少女のもとへ幻影のように現われて友だちになるのは、前作で猫族の女として死んだ娘。前作も心理的な怪奇映画だったが、本作も少女の幻影ともとれる表現になっている。しかも、モノクロ撮影の表現力の限界に挑戦するような様々な照明効果で、雰囲気描写と心理描写をたった70分の映画のなかにこれでもかと叩き込んでくる。ただただ嘆息するばかりの美しさと恐ろしさ。主演のアン・カーターという子役も天才肌で、照明効果による心理描写と天性の感受性をドキュメンタルに捉えた場面が混在して、奇跡的なできばえと言ってもいい。

■ドイツ人監督のガンザー・V・フリッチが遅いのでロバート・ワイズに交代させられたらしいが、ガンザー・V・フリッチの貢献はどのくらい残っているのだろうか。少なくともクランクインはしているわけで、主演のアン・カーターの好演のいくばくかは彼が導いたものではないだろうか。

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