日本で一番悪い奴ら ★★★☆

日本で一番悪い奴ら
2016 スコープサイズ 135分
ユナイテッドシネマ大津
原作■稲葉圭昭 脚本■池上純哉
撮影■今井孝博 照明■金子康博
美術■今村力 音楽■安川午朗
監督■白石和彌

■みんな大好き、北海道県警の大汚点・稲葉事件を映画化した実録犯罪映画。稲葉事件ファンの皆さんお待ちかねの映画化ですが、東映製作ではなく、日活メインであるところがなかなか微妙。東映アウトロー映画には二の足を踏むようになったのか。
■お話は何しろ実録なので、おなじみのエピソードのつるべ打ちですよ。あれもこれもほぼ全て盛り込まれているのでお腹一杯です。何といっても、主演の綾野剛の悪乗り気味の演技に尽きる。正直、綾野剛では線が細すぎると思うのだが、柄ではないことを無理してやっている感じが出ているのは、配役の戦略が成功していると言っていいだろう。警官であることに忠実であろうとするあまりに道を踏み外してゆく男の話であるという捉え方は、ラストの検事との対面シーンによく表れている。決して異常者ではなく、根っからの悪でもなく、私利私欲のためでもなく、組織の目標に忠実であろうとするあまり、桁違いの悪事に嵌ってゆく男の悲劇として描かれる。
■正直、綾野剛の演技とか発声にはもう少しおっさん臭さが欲しいところだし、警察組織の描き方が戯画化されすぎでリアリティに欠けるうらみがあるのだが、その分、面白くなっているので、まあ間違いではない。それにしても、聞いたことのない役者ばかりでよく、これだけの堅実なドラマができたものだと感心する。
■面白シーンにも事欠かなく、特に綾野剛中村獅童の初対面シーンのハッタリの利かせ方は、最高。大爆笑間違いなしの悪乗り演技だし、よくもまあこんな演出考えたものだ。あとは、経理担当の次長をコメディリリーフにしたのもお上手な作劇で、常識のはるか斜め上を行くトンデモ銃器対策にいちいち呆気にとられる、常識(=観客)担当の立場を代表して、それでも歯止めにはならないところで笑いを生む。これは秀逸な作劇だった。
■製作は、日活、東映木下グループほか、制作はジャンゴフィルム。

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