次郎長三國志 第四部 勢揃い清水港 ★★★

次郎長三國志 第四部 勢揃い清水港
1952 スタンダードサイズ 80分
NFC
原作■村上元三 構成■小国英雄 脚本■松浦健郎
撮影■山田一夫 照明■西川鶴三 
美術■北猛夫、阿久根厳 音楽■鈴木静一
監督■マキノ雅弘

■いきなりシリーズ第四作に飛ぶ。今回は、豚松(加東大介)が一家にしろと押しかけるエピソードと、石松(森繁久彌)と追分の三五郎(小泉博)が持ち込んできた相撲興行を巡って黒駒勝蔵と対立するまでを描く。

森繁久彌と小泉博が丁々発止とやりあう演技合戦なんて、その後の日本映画史のなかでは想像も出来ない取り合わせだが、若い頃の小泉博の演技力は柔軟である。伸ばしようによっては、もっと演技派になりえた役者だったのに。東宝特撮映画以外に代表作が無いわけでもないはずだが、損しているような気がする。

■前作から加わったらしい久慈あさみが、年増女の色気とともに男勝りの知恵と度胸で一家をサポートする様が頼もしく、どう見ても次郎長より腕も知恵も勝っている。ラストには出入にも飛び入りし、華麗な剣捌きを披露する。といっても、決めポーズ中心で、キャメラワークによるところ大だが、こうした男に一歩も引けをとらずに独立独歩で渡世を渡る孤高の女像は、緋牡丹博徒お竜さんに直結するものだろう。

■次郎長もやっと親分らしさを披露するようになり、今後の展開が気になるところだが、今回は東京で1作と4作を観るのが精一杯だった。

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