マイ・ボディガード ★★★

MAN ON FIRE
2004 スコープサイズ 146分
DVD


 元CIA特殊部隊で殺しのプロとして働き、傷ついて酒に溺れる日々のクリーシーに、誘拐が頻発するメキシコでボディガードの仕事が舞い込む。心を閉ざして職務だけに専念しようとする彼の頑なな気持ちをほぐしたのは9歳の娘ピタだった。だが、ある日遂に恐れていた事態が・・・  

 デンゼル・ワシントンダコタ・ファニングロリコン復讐劇、といったら語弊があるだろうし、原作はそんなに甘いものではないと思うが、それなりにウェルメイドなアクション映画だ。主演のデンゼル・ワシントンは他にも相応しい俳優はあるだろうが、ダコタ・ファニングの配役で決定的に成功している。

 他方、脇をクリストファー・ウォーケンミッキー・ロークといった曲者が固めて硬派な活劇であることも宣言しようとしており、欲が深い。

 だが、トニー・スコットのあまりにも手を加えすぎた映像処理については好みが分かれるところだろう。カット毎に、速度が変わり、色調が変化し、映像がブレ、様々な移動ショットが交叉する、極めて人工的な映像作法は、いかにもMTV的で、そうした映像様式の始祖としての誇りとともに、現在も進化を遂げているのかもしれないが、ドラマに没頭することを阻害してはいないか?

 物語自体は単純な構成なので、145分はいかにも長い。120分程度で十分なはずだ。個人的には「ハンガー」「ザ・ファン」のトニー・スコットには心酔しているので、ホラー畑に復帰を切望する。

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