海街diary
2015 ヴィスタサイズ 126分
Tジョイ京都
原作■吉田秋生 脚本■是枝裕和
撮影■瀧本幹也 照明■藤井稔恭
美術■三ツ松けいこ 音楽■菅野よう子
監督■是枝裕和
■久しぶりに映画館で観る映画がこれで良かった。なにしろ、今時珍しいフィルム撮影の映画で、DI処理はしてあるものの、CGは使用されていないようなのだ。四季の移ろいを全部ライブ撮影したのだろうか。DIは実質的にVFXなので、かなり映像加工されているはずだと思うのだが、その詳細は不明。
■お話は非常に他愛なく、深刻な対立や葛藤は無く、いかにも漫画原作らしいゆるふわな雰囲気描写が満載で、おっさんの観る映画ではないのだが、なにしろ四姉妹のきれいきれいなお話は、おっさんにも好物なのだ。
■その意味では贅沢なオールスター映画で、綾瀬はるかと長澤まさみの共演というのは映画らしい座組みで、脇を大物女優たちが固めるという、昔の東宝のお盆映画並の贅沢さ。それだけで満足というものだが、実際のところ綾瀬はるかは非常に役得で、大した貫禄を示す。『八重の桜』を観ても只者ではないのは確かだが、映画での代表作となった。いかにも典型的な長女役をあまり作りすぎずに自然に演じて、その地味な佇まいが大物女優の存在感を醸し出す。
■一方、次女として奔放な振る舞いを見せる長澤まさみも色気全開で、現実離れした長い脚をむき出しにしてオトナの女の悩殺フェロモンを出し惜しみしない。綾瀬はるかと長澤まさみの絡みは、観ていてヒリヒリするほどのスター同士の静かなぶつかり合いだ。
■本作は何故か是枝裕和が撮ったのだが、80年代なら澤井信一郎が撮っただろうし、ゼロ年代なら行定勲が撮っただろう。妄想の澤井信一郎バージョンが脳内に広がっていかんのだが。