UNSTOPPABLE
2010 スコープサイズ 99分
TOHOシネマズ二条(SC5)
■化学薬品を満載して些細なミスから暴走を始めた貨物列車に対して、会社側の計画した停止作戦、脱線作戦はすべて失敗、このままでは市街地の大カーブで脱線転覆は間違いない・・・
■おなじみトニー・スコットが描き出す、男の仕事場映画の痛快作。実話に基づいた直球勝負の映画だが、サスペンスもスペクタクルも満点で、タイトにまとまった娯楽映画。暴走貨物列車は、まるでモスラの幼虫のように制御不能で、一種の怪獣映画とも言えるだろう。
■惰性運行していた貨物列車が徐々に力行を始めてスピードアップしてゆくあたりのサスペンスの盛り上げ方もよくできているし、暴走貨物列車に繰り出される鉄道会社側の作戦が次々と失敗してゆくあたりも手に汗を握る。その様子を躍動的なキャメラワークで描くトニー・スコットの手つきは非常に技巧的だが、ポール・グリーングラスに比べれば、ずっと見やすい。実話をベースにしているので、キャメラの視点もヘリによる空撮や車両による移動撮影などがメインに設定されており、主人公をとらえるキャメラも基本は操縦席を窓の外から捉えた移動撮影によっている。
■溶接主任のおっさんがどこでその溶接技術を発揮して主人公のピンチを救うのかと思いきや、ずっこけそうな大活躍を見せてくれるのも、可笑しくて素敵だ。「新幹線大爆破」とか「交渉人真下正義」とか似た映画はいろいろあるが、なんといっても本物の列車を使用して豪快なロケ撮影を行ったところがミソ。しかも、すべての見通しの良い昼間に風光明媚な舞台の中で展開するのが清々しい。