極道の妻たち 情炎 ★★★☆

極道の妻たち 情炎
2005 ヴィスタサイズ 118分
DVD 
原作■家田荘子 脚本■高田宏治
撮影■仙元誠三、柏野直樹 照明■椎野 茂
美術■山崎秀満 音楽■吉川清之 
監督■橋本 一


 高島礼子の前4部作から4年の歳月を経て、突然蘇った極妻シリーズ最新作。

 何ものかに若者頭である夫を殺された波美子(高島礼子)は、菅沼組初代組長の跡目として河本(保阪尚輝)が擬せられていることに反発する。一方、跡目を狙う河本は、日本最大の組織・坂下組の大幹部の後ろ盾を得て、波美子と亡き夫の実弟・恭平(山田純大)を追い込む。そんなとき、河本が韓国に残してきた妻・英玉(杉本彩)が日本に現われる。河本に妻子があることを知った英玉は波美子とともに、恭平とその恋人(前田愛)の行く末に期待をかけるが・・・

 高田宏治ならではの複雑なプロットが炸裂するおなじみ極妻シリーズで、前4部作は東映京都撮影所で撮影されたが、今作は東京撮影所制作である。しかも、キャメラは仙元誠三と柏野直樹という強力すぎる布陣。制作費も決してVシネマレベルではなく、堂々たる劇場映画の構えである。映像的な充実度では、木村大作が仕切ってきた映画版を凌駕する。何故全国のシネコンで公開されなかったのか不思議なほどだ。

 しかし、もっとも見所はなぜか東映がやけに期待をかけている新鋭橋本一の演出ぶりで、緩急のメリハリの効いたケレン味溢れるサービス精神旺盛な作風は、これまでの東映映画と比べても新鮮なものだ。杉本彩も未向(みさき)も惜しげなく脱ぎ、特に両者に興味は無くても、さすがに立派な裸身を目にして悪い気がする観客もいないだろう。正直なところ、御大高田宏治の複雑怪奇な脚本でここまでベタなサービスに徹した娯楽作を仕上げてみせる橋本一の図太さは特筆に価する。

 高島礼子の極妻は、既に岩下志麻の作り上げた極妻像を超えており、高島の少しおっとりした持ち味が女の凄絶さよりも、情の深さを際立たせてキャラクターに幅を持たせている。

 今作での注目配役は、山田純大を慕う看護師役の前田愛で、天性の巧さを久々に発揮しており、後半の見せ場をさらう。

 惜しいのは、せっかかく高島礼子杉本彩を組ませながら、対立件関係に持ち込めなかったところだ。二人の道行&殴りこみをラストに据えるより、女同士のえげつない潰しあいをこそ見てみたかった気がする。杉本彩のキャラクターも、日本のヤクザに捨てられて香港の阿片窟で保阪に拾われて韓国へ渡ったという荒唐無稽な、つかみ所の無いもので、せっかく韓国と日本という対立軸を据えながらアクセントにしか過ぎないのが残念だ。屈折した役を異様に酷薄な表情で演じる保阪尚輝の不気味なオーラはちょっと凄い見ものなのだが、中途半端な決着の着け方には疑問を感じる。何故最後まで悪あがきしてでも生き延びようとしないのか。それが東映映画の描くべき人間像ではないのか。

 とはいいながら、エンドクレジットの後に用意された、冒頭のシーンと呼応する幕切れの刺青の趣向の見事さも会心の出来といえ、大ベテラン高田宏治の息の長い活躍に驚嘆する一作でもある。

参考

橋本一は結構オタク気質な監督という印象ですが、守備範囲は幅広いのだ。
maricozy.hatenablog.jp
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極妻シリーズ!あれ、全部観てるのに記事がないぞ。
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