日本の首領 野望篇 ★★★☆

日本の首領 野望篇
1977 スコープサイズ 141分
DVD
原作■飯干晃一 脚本■高田宏治
撮影■増田敏雄 照明■増田悦章
美術■佐野義和 音楽■黛敏郎伊部晴美
監督■中島貞夫

 前半はジャパンシップの買収を進めている五光汽船の介入作戦、後半は親日的なガルダネソス共和国アナンタ大統領の来日を狙っての利権獲得作戦を中心として、中島組と関東同盟の対立を描き出し、同時に中島組内の空席の若頭を回って松枝(松方弘樹)と片岡(成田三樹夫)が争うという複雑な物語を、高田宏治が力技で無理やり構築したシリーズ第二弾。

 ドラマ的には前作には及ばないが、オールスター映画の華やかさや実在の経済事件や政治事情を下敷きにした作劇の情報量の多さと、政財界と暴力組織との癒着を赤裸々に描き出す筆致の直截さで、男の娯楽映画としては申し分ない。欲を言えば、このシリーズは山本薩夫が撮るべきだったという気がする。

 松方は前作で死んだ鶴田の戦略を踏襲して関東進出を目指し、アナンタ大統領を陥落させるために旧公家のお姫様岸田今日子まで動員して万全を期すが果たせず、結局は孤独に自死してゆく。

 今回は男たちの戦いのなかに、女の視点を導入したところに新機軸があり、金沢碧と岸田今日子がその役目を担っている。東映実録路線の濃い男優たちにまったく引けをとらないのは、さすがに岸田今日子といえ、東映ヤクザ映画への異色女優の登場で劇的には急激にヒートアップする。松方弘樹岸田今日子のラブシーンというのは、実に・・・凄いものです。岸田今日子は本作のテーマを直接的に語る肝となっている。

 そうした人々に比べると、関東同盟のドン三船敏郎の草臥れ方は痛々しい。三船プロ社長としての激務(?)に消耗したというよりも、朴訥なキャラクターを映画スターとして盛り立てる外部機構の消耗によって、その存在感が急激に減衰していったものだろう。佐分利信との直接対決が1シーンだけというのも、消化不良という感じだ。


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