『逆境ナイン』

基本情報

逆境ナイン
2005/CS
(2005/7/16 TOHOシネマズ高槻/SC)
原作/島本和彦 脚本/福田雄一
撮影/村埜茂樹 照明/澁谷亮
美術/北谷岳之 音楽/佐藤直紀
VFXスーパーバイザー/貞原能文
監督/羽住英一郎

感想(旧HPより転載)

 廃部の危機に陥った全力学園の野球部の主将不屈闘志玉山鉄二)は、野球を全く知らない監督(田中直樹)とともに、地方大会を勝ち抜いて高校野球へ出場するため、次々と遅いくる逆境を糧として、這い上がってゆく。

 「少林サッカー」のヒットと邦画界のVFX技術の蓄積を背景として企画されたと思われる映画で、奇抜なアイディアと卓越した体技、VFXの使い方の巧さでは本家が上回るが、こちらも十分によくできたスポコン映画である。

 次々と繰り出される逆境の数々を乗り越える強引な展開は例えば「巨人の星」などのスポコン漫画でお馴染みの作劇をパロディ化したものだが、宇宙から飛来する「自業自得」とか、地下からせり上がってくる「それはそれ、これはこれ」という言霊の巨大石碑(?)が漫画らしい突き抜けた笑いを誘うが、基本的には大真面目に男の生き方を問う青春映画であり、実際かなり感動させられるから羽住英一郎という監督も侮れない。「海猿」は未見なので、是非見ておきたいものだ。

 主演の玉山鉄二は「ガオレンジャー」の頃のほうが二枚目ぶりが際立っていたように思うが、謎の監督に扮する田中直樹はなかなか見もので、期待通りの怪演。藤岡弘、の肉付きの良すぎる体型は往年の1号ライダーの勇姿を思うと複雑な思いがあるが、お元気そうでなによりだ。

 ばかばかしいほどの男臭さが微笑ましくも涙ぐましい愛すべき好篇である。

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