THE LAST MESSAGE 海猿 ★★★

THE LAST MESSAGE 海猿
2010 スコープサイズ 129分
ユナイテッドシネマ大津(SC3)
脚本■福田靖
撮影■佐光朗 照明■水野研一
美術■清水剛 音楽■佐藤直紀 VFXスーパーバイザー■石井教雄
監督■羽住英一郎

■ドリル掘削船と衝突、しかも大型台風の直撃を受けて風前の灯状態の巨大天然ガスプラント・レガリスの人命救助に向かった海猿たちだが、石油の暴噴の危機が迫り、さらに火災が発生して、天然ガスの大爆発が目前に・・・

■というコテコテの70年代風パニック映画、しかも巨大天然ガスプラントをミニチュア撮影を使わず、フルCGで描くという意欲作。というか、かなり趣味性の強いスペクタクル映画だ。監督の羽住英一郎は、そのあたりを意図的に楽しんでいるので、観ていてまったりと楽しい。

■しかし、製作がテレビ局なので、クライマックスで少女趣味のメッセージが延々と流され、せっかくのレガリスも、その独白の背景映像として豪快に沈没してゆくに至って、想像通りとはいえ、あまりに残念な作りで、あまりにもったいない。本来であれば、レガリスの沈没シーンは、男泣きのクライマックスになったはずなのに、監督は女泣きを選択してしまったのだ。もちろん、監督も映画の完成度とか、自分の趣味性よりも目先の商売を優先する不誠実は重々承知の上の選択だろうが。DVD化の際には、再編集を施して、男泣き版と女泣き版を選択できるようにしてほしいものだ。女泣きが悪いと言っているのではなく、その作劇があまりに幼稚であることを責めているのだ。

■驚いたのは、レガリスの威容とか、暴風雨の海上といった困難な場面をすべてCGで描ききっていることで、同じROBOT制作でも「リターナー」では海上石油プラントを描くのに特撮研究所のミニチュア撮影に頼っていたことに比べると、相当な進歩である。VFXはオムニバス・ジャパンが担当しているが、白組の技術レベルに拮抗している。

■製作はフジテレビ、ROBOT、ポニーキャニオン他、制作はROBOT。

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