ぼくは明日、昨日のきみとデートする ★★★

ぼくは明日、昨日のきみとデートする
2017 スコープサイズ 111分
イオンシネマ京都桂川
原作■七月隆文 脚本■吉田智子
撮影■山田康介 美術■花谷秀文
照明■川辺隆之 音楽■松谷卓
監督■三木孝浩

京都市北部を走る叡山電鉄沿線を舞台に、20歳の男子大学生が一目ぼれした女性との恋愛をふわふわしたタッチで描く甘い恋愛映画、かと思いきや、長い長いアヴァンタイトルの後に、意外な真実が明かされると、二人の関係は決定的にすれ違い始める・・・

■というお話で、明らかに『君の名は。』と趣向がカブっていて、二個一で企画されたかと思われる双生児のような映画。『君の名は。』も良作だったが、実は本作もなかなかウェルメイドな映画。当然京都ロケがメインだが、どうもセット撮影も東映京都撮影所を使ったらしく、登場人物もほぼ主演の二人の芝居なので少なく、明らかに低予算映画だが、スタッフは東宝生え抜きの、『シン・ゴジラ』の撮影、照明コンビを投入しているから少なくとも貧乏くさくはないよ。このジャンルでは定評のある三木孝浩の演出も、画面がグラグラ揺れたりとか、カットが細かすぎるといった近年の大作映画の悪い癖とは無縁で、非常にオーソドックスにカットを割っている。ただ、画調はハレーション気味の白っぽいタッチで、明らかに女子学生向けの作りなのは、さすがに中年男子には厳しい。なんと撮影の山田康介は木村大作の弟子なのだが。

■お話しに触れると興味半減なので、敢えて立ち入らないが、十分によくできていると思いますよ。福士蒼汰仮面ライダーの方が生き生きしていたと思うし、小松菜奈は初めて見るけど、個人的にはまったくなんの魅力も感じない女優だが、終盤では何箇所かちゃんと泣かせる場面が成功しているから悪くはないよ。めそめそはしているけど、必要以上に押し付けがましい演出はないし、当然そうなるべきラストの締め方も秀逸。

■しかし、一番ビンビン来たのは、叡山電鉄のあの殺風景な路線風景が主題歌とともにファンタジックに紹介されるエンドクレジットだなあ。あれは沿線住民には堪らん贈り物。あの団地やあのマンションが大スクリーンに大写しに。ポスプロでいろいろ消したんでしょうなあ。ご苦労様です。
■製作は、東宝博報堂DYミュージック&ピクチャーズジェイアール東日本企画ほか、制作は東宝映画。

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