『科捜研の女 2022』備忘録

■「科捜研の女」は長寿シリーズなのでとても全部は観られてませんが、わりと観てますよね。特に初期はコメディ要素も多めで、沢口さんが超絶にチャーミングだし、楽しいですよね。その後、割とハードな路線に変更されて、沢口さんはリアリティ追求でほぼノーメークで出てましたよね。すげーなと思いながら観てました。

■と思ったら、なんと最新シリーズがもうじき始まるらしいので、その前の『科捜研の女2022』について備忘録を残しておきます。終わる終わると言われながらシリーズ継続しており、放送枠が変更になったし座組に大きな変更があったのかと思えば、なんのことはない通常運転でほっこりしたものです。スタッフも若返りどころ東映京都の大ベテラン勢で、田中勇二がいまだにキャメラ廻してるよ!という驚きの状態。少し前まで、色物路線になっていて、沢口さんにいろんな奇抜なことをやってもらおうという趣向に無理があったので、お話もハード路線に回帰して、ちゃんと面白かったですね。
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■特に2022シリーズ通じての悪役との決着を描いた最終回は、なかなかの力作で、ちょっと凄かったですよ。マッドな科学者 古久沢(石黒賢)のさいごの台詞は、研究者の心の中に巣食う、リアルすぎる悪魔的な本音を抉り出しましたね。櫻井武晴、本気です!渡辺あやと同じくらいの真剣勝負だよ!と感じました。

■国内にある某国のシャドーラボで開発された、殺人兵器に転用できる「熱音響冷却装置」の研究上の機密データについて問われると、古久沢はこう嘯きます。

「すでに海外に流した。裁判でも言わない。日本に敵意を持つ国だ。優秀な科学者を大事にする国だ。これから多くの日本人を苦しめる。それが科学者を冷遇する国の末路だ。自分たちがした正義の選択に未来永劫苦しめばいい。」

だらだら観てるとこんな凄い台詞が飛び出すから、このシリーズも侮れないですね。この台詞の意義が理解されるのに、何年もかかるかもしれないけど、そのときにはじっさい手遅れになっているでしょうね。

■基礎研究を重視しない国策、博士号を持つ研究者を単なる趣味の人として冷遇する国民性、その先にあるわが国の未来とは?いやそもそも未来があるのか?そんな先進的なテーマにズバリと切り込むセンスの良さと、真剣さに驚愕しました。作りは安いけど(東映だから)、もっと注目されるべきシリーズだったはずですね。さて、最新シリーズはどこまで突っ込むのかな?

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参考

天然資源のないわが国は、人間の頭脳(知的能力)で未来を開拓するしかないのに、研究とか科学的思考とかが軽視される風土があり、将来が心配だという話は、渡辺あやもいち早く着目していた。
maricozy.hatenablog.jp
沢口靖子はサイボットではないのだ!
maricozy.hatenablog.jp
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