■出演:沢口靖子、八嶋智人、梶原善、麿赤兒、吉満寛人、伊藤修子、西岡德馬、伊東四朗
■保守政党から出馬して当選した花道家元の丸子センセイは、派閥の領袖から何もしないお飾りでいることを期待されていたが、ベトナム人少女から、逮捕された父親を助けてという依頼を聞き届けるために、独自に調査をすすめると、外国人労働者にブラック労働を強いる輸送会社の存在に疑問を持つ。だがその会社は派閥の領袖の肝いりの企業で。。。
■という、ハリウッドではおなじみの政治コメディだが、意外にも本気度が高くて、結構立派な社会派ドラマになっているので驚いた。キャストはまるでフジテレビのようだし、三谷幸喜が書きそうな素材だが、フジテレビではここまで実直な政治批判に踏み込まない。そこはテレビ朝日ならではのこと。
■丸子センセイを沢口靖子が清潔に演じて、いつものように浮世離れした、ここではないどこかを直視する視点の先には、永田町が見失った政治的理想や哲学(極めて素朴だが)が幻視されている。そんな特異な個性を、演技を超えて体現できるのは、こんにち沢口靖子しかいないだろう。そんな芸当、誰にも無理!!
■おそらくは、かつてあったこともない空想的な日本の伝統とやらを確立しようと目論む謎の極右思想に凝り固まった安倍首相に重用されながら、その退陣後に本職の弁護士としての矜持に目覚めて(?)、穏健保守としてリベラル寄りの政策を推進する稲田朋美のイメージを重ねているように見える。いや、きっとそうだろう。まあ、現実は単なる風見鶏だと思うけど。
■ハリウッド映画ではよくある素材とスタイルだけど、日本映画ではなぜかなかなか無いジャンルの映画なので、その意味でも貴重かもしれない。ハリウッドでは『デーヴ』なんて傑作もあったよねえ。
参考
maricozy.hatenablog.jp
maricozy.hatenablog.jp
『デーヴ』これは間違いなく傑作。急死した大統領の影武者のはずが本気出すと理想的な大統領になってしまうという政治コメディ。脚本の教科書ともいえるでしょう。