女だてらに心は侠客!馬賊芸者と呼ばれた女『日本女侠伝 侠客芸者』

基本情報

日本女侠伝 侠客芸者 ★★★
1969 スコープサイズ 99分 @DVD
企画:俊藤浩滋、日下部五郎 脚本:野上龍雄 撮影:鈴木重平 照明:井上耕二 美術:雨森義允 音楽:木下忠司 監督:山下耕作

感想

■明治から大正にかけての時代、北九州地方では石炭産業が繁栄し、博多の芸者たちは馬賊芸者として恐れられた。女侠芸者(?)信次(藤純子)は炭鉱主(ではなく納屋頭という坑夫たちを束ねる役職らしい)の島田(高倉健)と知り合うと、全九州の炭鉱を併合しようとする大資本家の大須賀(金子信雄)と対立してゆく。だが、島田には許嫁があった。さらに大須賀たちの横暴に端を発して芸者たちは全面ストを決行する。。。

■緋牡丹博徒シリーズが終了したので新シリーズとして企画された日本女侠伝の第1作。脚本は野上龍雄が書き、殖産興業時代の炭鉱労働を巡る社会派映画的な要素が多めになっている。そして藤純子高倉健のロマンスが独特の情感で描かれる。わたしにだって棘はたくさん刺さってます、の台詞のあたりが野上龍雄テイストだろうなあ。カタギの許嫁があることを知って身を引く覚悟で大須賀に身を投げ出す場面に、健さんが現れて、これは俺の女だ、連れて帰るぜ!と啖呵を切る見せ場も、定番ながら鮮やか。

■ただし、社会的背景の部分はこの時期の東映任侠映画の場合、どうしても道具立てになりがちで、同時期に東京撮影所で佐藤純彌などがガリガリ撮っていた現代ヤクザ映画のリアリティやシリアスさには敵わない。なにしろ、炭鉱を巡る謀略と、料亭の芸者たちの人間関係と、純子&健の純愛を描かないといけないので、表面をなぞるだけになるのはやむを得ないけど。それにしても、若いのに藤純子の貫禄とスクリーン映えは異常なレベル。映画の神に呼ばれた女。


参考

maricozy.hatenablog.jp
maricozy.hatenablog.jp
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女侠と言えば、中原早苗だよね!おんな国定忠治と呼ばれる、曲がったことの大嫌いな女子大生なのだ!「うるせえぞ、ロッキード!」は名台詞。
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