火星のことは夢のまた夢…『トータル・リコール』

基本情報

Total Recall ★★★☆
1990 ヴィスタサイズ 113分 @DVD

感想

■びっくりしたなあ!火星の夢の女は実在したし、おれはただの建設作業員じゃなくて、本当は火星世界の敏腕エージェントだったなんて!

■という非常に子供じみた妄想SF活劇だけど、脚本の捻りが効いているし、活劇は躊躇なく派手だし、演出のやり過ぎ感がほとんど東映映画みたいだし、とても楽しいですね。CGが登場する前のドリームクエスト社のSFXが味わい深いです。当時としてもすでに最先端ってビジュアルじゃなかったけどね。

ポール・バーホーベンの人でなし演出は豪快だし、ロブ・ボッティンの奇抜な特殊メイクと特殊造形は今見ても魂消る。趣味の悪さとお笑い精神は、なんとなく関西喜劇に似ている気がする。だから、石井輝男とか鈴木則文の映画に似て見えるのだ。鼻の穴の奥からアレを取り出す場面や、火星表面で眼球が飛び出したり、おもしろSFXの釣瓶打ち。デブっちょおばさんの皮を被ったシュワの大活躍、というかおばさん(プリシラ・アレンという女優さん)の大活躍も、何度観ても凄いシーン。よく考えたな。こうしたSFXの見せ場は何かを超越してしまっているので、今見てもちゃんとおもしろいから凄いですな。人間の思いつきのパワーって凄い。

■最終的に鉱石採掘会社が資源を独占して支配する暗黒世界である火星の階級社会がエイリアンの残したオーパーツによって大気を得て新世界に変貌する豪快なスペクタクルになる。このあたりのアナログ感を多分に残したミニチュアSFXも美味です。地底の氷河層に、アツアツに熱した芯棒が挿入されるエロいSFXシーンも、バーホーベンだからそのつもりで撮ってますよね。

「人間の価値は過去の記憶じゃなく、何を行うかで決まる」反乱分子の指導者が語るように、クエイド/ハウザーは過去の自分の行いは、それはそれとしてリセットし、正しく生き直すことに成功する。嗚呼、それができればと全世界のおじさんたちは深く嘆息したのでした。

■そうそう、なんで今さら観たかといえば、平成ガメラ大谷幸の音楽がびっくりするくらいジェリー・ゴールドスミスまんまだったので、本家本元を聞きたくなったのですよ。それだけ!


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