地球が静止する日 ★★★

THE DAY THE EARTH STOOD STILL
2008 スコープサイズ 106分
TOHOシネマズ二条(SC1)

地球が静止する日 <2枚組特別編>〔初回生産限定〕 [DVD]
■意外によくできたSF映画で、さすがに「エミリー・ローズ」のスコット・デリクソンが監督しただけのことはある。小気味良い展開を見せるデヴィッド・スカルパの脚本も予想以上によくまとまっている。スペクタクルシーンには監督自身はあまり興味が無いらしく、特撮スタッフにシーン丸投げという制作スタイルのようだ。WETAデジタルのCGアニメーションなので、非常に良くできたシーンが多いが、単純に雪や雨をダブらせたシーンにリアリティと説得力が無いし、バイオロボット(?)ゴートのCGはどう考えても無理がある。まあ、アメリカ軍のゴート対策は脚本的に最もおおまかな部分で、マジンガーZの頃のロボットアニメか、という超SF仕立ての感じだが。

■しかし、あからさまに政治的な内容なのは、少々興ざめだ。ブッシュ体制のアメリカに対する自己嫌悪感を隠そうとせず、オバマの登場を積極的に肯定してゆく。というか、オバマ指導体制への迎合を声高らかに主張する。危機の時にこそ人は変化することができるのだというメッセージを、一方は普遍的な真理として、他方ではオバマの政治メッセージに重ねて見せることで、ブッシュからオバマへと移り変わるアメリカの政治体制に対する期待感を隠そうとしない。

■我らが(?)キアヌーが人間離れした(当たり前だが)クラトゥを演じて、これははまり役だし、狂言回しとなる女性科学者をジェニファー・コネリーが演じて、元美少女、現美人女優の面目躍如の活躍を見せてくれる。とにかく、正統派美人女優なので、安心して観ていられる。他にも脇役の男性陣に、地味ながらSF映えするいい顔を揃えており、細部まで楽しめる。最後まで顔を出さない大統領のバカな指令に、立場上しぶしぶ従うしかない国防長官のキャシー・ベイツというのも、いい配役だし、うまい描き方だ。


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