シリーズ第一作の主演は丹波哲郎だ!『機動捜査班』

基本情報

機動捜査班 ★★★
1961 スコープサイズ(モノクロ) 68分 @アマプラ
企画:柳川武夫 脚本:長谷川公之、宮田達男 撮影:松橋梅夫 照明:熊谷秀夫 美術:西亥一郎 音楽:小杉太一郎 監督:小杉勇

感想

■警視庁の覆面パトカー隊の活躍を描くシリーズ第一作で、監督はもともと俳優の小杉勇。日活お得意のモノクロ撮影によるリアルな情景のキリトリが今となっては貴重だけど、撮影も照明もあまり凝ってなくて、わりとサラッ撮りました風。照明なんか、ノワールではなくかなりフラットですよ。

近松組と荒川グループの抗争の種火が燻るなか、幹部の太田(内田良平)がムショで知り合った小池(丹波哲郎)と出所する。小池は荒川グループに報復を提案するが。。。

■一応主役は青山恭二なんだけど、狂言廻し以下の扱いで、警察側の主役は二本柳寛に見えるし、本当の主役は若いのに貫禄十分な丹波哲郎だろう。この男、警察の潜入捜査官ではないのかとの疑惑を含んで抗争は激化し、警察は抗争勃発のピンポイントで機動隊の投入を準備する。

■しかも、内田良平の妹(吉行和子)が丹波哲郎に惚れるエピソードもなかなか残酷な結末で、意外に陰影が深い。

■でもいちばん印象に残るのは、単なる助平親父かと思った脇役の鈴木大介というおじさんで、吉行和子にストーカー行為を行って丹波哲郎にコテンパンにされるだけでなく、さらに弱みにつけこまれてあらぬお宝を吐き出すハメに。事件は製薬会社を巻き込んだ社会派展開になり、そのなかでやくざと会社が結託して会社の暗部を隠蔽するために密殺されるという大悲劇の主人公。とことん不幸なおじさんに涙を禁じえない。社長のほうが悪だよねえ。

■小杉勇の演出は専業監督に比べるとところどころぎこちなく、『事件記者』シリーズの山崎徳太郎などの方がうまいのだが、お話の捻りと丹波哲郎の好演でグイグイ見せる中編映画。

参考

日活のプロデューサー、柳川武夫は独特の地味な社会派路線を得意とした。特に『帝銀事件 死刑囚』を製作したのは凄い。
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