人間革命 ★★★☆

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人間革命
1973 スコープサイズ 159分
原作■池田大作 脚本■橋本忍
撮影■西垣六郎 美術■村木与四郎
照明■森本正邦 音楽■伊福部昭
特殊技術■中野昭慶 合成■三瓶一信
監督■舛田利雄

■実に40年以上の念願かなって、ついにこの問題作を観る日がやってきた。なんとも言い難い感慨がこの胸に去来する、といっては大げさに過ぎるわけだが、観られたことには素直に感謝する。
創価学会の第二代会長戸田城聖丹波哲郎が演じて、法華経の真髄たる仏とはなにかという問いに対する答えを巣鴨の独房内で悟るまえでは第一部、第二部は教義なき宗教団体との批判から逃れられない創価学会の起死回生の仏典解釈たる十界論を丹波節でまくし立てる異様な熱気溢れるパート。青木義郎演じる憲兵から創価教育学会は教義も組織力も無い、実質的に何にもないじゃないかと問い詰められる場面は、よくぞ言ったというアンチテーゼ。こうした部分にはさすがに橋本忍という冴えが見えるが、全体に往年の橋本忍節は影を潜め、とことん通俗な描写が続く。そこまで通俗なレベルに寄り添うのかという驚きがある。日本映画界がもっとも危なかった時代に、高踏的な話術は通用しないとばかりに、とことん視線を庶民の目線に降ろしてくるのは橋本忍の新たな戦略かもしれない。
■悩みに悩む第一部は正直丹波哲郎には苦しい珍妙な見せ場が続くのだが、第二部はとことん戸田城聖の説法に焦点を絞って、丹波哲郎の話術のドキュメンタルな表現に見せ場を託する。第一部で悟った教義の真髄を第二部のクライマックスで解き明かすという脚本構成は単純ながらさすがの面白さで、橋本忍の通俗路線の白眉。これに味を占めた橋本忍田中友幸はこののち、ここでの成功体験に基づいた映画作法を敷衍することになる。
戸田城聖のノリノリの十界論講義を聞かされてとにかくもうポカーンとするしかない学会員を佐原健二森次晃嗣が演じているのはなんだかギャグにしか見えないのだが、真意は不明だ。
中野昭慶はまだ特技監督の称号を頂いておらず、見せ場も少ないので、特撮美術は井上泰幸ではなく井口(高橋)昭彦が担当している。嵐の海を室内プールで再現したり、案外そつのない仕事ぶり。クライマックスの南無妙法蓮華経のお題目が宇宙を飛んだりするイメージシーンが主な仕事場だが、合成的にはあまり凝ったものではないが、ナパーム爆発が登場する辺りは中野特撮の独壇場だ。実際、案外おとなしく真面目にこなしている印象だ。


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