映画監督:田中絹代の再評価が始まっています

■最近のことですが、映画監督としての田中絹代の評価が、何故か欧米を中心に広がっています。日本では名優と言われながらも、映画監督としては余技の扱いで、正直冷淡な評価しか与えられなかったですが、日本では二人目の女性映画監督として、改めて評価が高まっています。直近でも、4Kデジタル復元版が来月からイギリスの映画祭で上映されるようです。凄いね。

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■正直いって、私もなんとなく、当時の流行でもあった有名映画俳優が映画監督にチャレンジするトレンドの一種としてしか捉えておらず、山村聡とか宇野重吉とか佐分利信とかいった名優たちのパフォーマンスというイメージしかなかったのですが、1955年の日活映画『乳房よ永遠なれ』でガツンと喰らいましたね。凄い才能だと思いました。これ観て何も感じない人は映画観るのに向いてないと思います。

■後に大映で撮った『流転の王妃』も部分的に突出した演出やグラフィカルな美意識が、並の映画監督ではないことを示しますが、なんといっても時代を10年以上先取りした『乳房よ永遠なれ』には及びません。

■以下は過去の映画祭用の予告編ですが、デジタルリマスターの威力も凄いけど、カットの選出のセンスも凄くて、編集が圧巻です。『流転の王妃』の色彩感は凄いですね!もともとアグファカラーだと思いますが、色彩の透明感と独特の色乗りが圧倒的です。


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■東京映画の『女ばかりの夜』も是非観てみたいのですが、なかなか機会がありませんね。

参考

もともと映画監督としての田中絹代に注目したのは、たまたまKBS京都で観たカット版の『流転の王妃』でした。意外と面白い大作歴史劇でメロドラマだったので。

でも単なる難病映画と思っていた『乳房よ永遠なれ』が超ハードボイルドな女性映画だったのはショックでした。こんな映画、そうそうないですよ。

お吟さま』は大御所キャメラマン島義勇に現場の指揮権と映像表現が引きずられて制約されたかもしれません。画角は明らかに宮島義勇の生理によるものですね。というか、そもそも脚本が弱いですね。
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