私だって結婚したい!ハイミスいづみの不思議な性的冒険!『結婚相談』

基本情報

結婚相談 ★★★
1965 スコープサイズ(モノクロ) 105分 @アマプラ
企画:芦田正蔵 原作:円地文子 脚本:須崎勝人 撮影:山崎善弘 照明:高島正博 美術:大鶴泰弘 音楽:伊部晴美 監督:中平康

感想

■行き遅れた三十女が結婚相談所の会員となるが、実は売春斡旋所で。。。という扇情的なお話で、封切り当時は成人映画として公開されたらしい。もちろん、三十女といっても、芦川いづみが演じるので、浮世離れした美貌とチャームなわけで、奇怪なベッドシーンもあるけど、もちろんいやらしくないですよ。

■オールドミスの転落と再生を描くというテーマだけど、中平康なのでシニカルかつテンポの良い切れ味の良い映画に仕上がっている。山崎善弘の撮影もオーソドックスでフィックスを基調とするが、妙に照明が明るいのは気になる。芦川いづみを綺麗に撮ることと、細川ちか子のシワを飛ばすことがメインテーマとしてあり、そのために全体的に明るいルックとなったのだろう。でも、山崎善弘の仕事としては、森永健次郎と組んだラフな手持ち撮影のほうが冴えている気がする。

■クライマックスでは座敷牢の○○が登場して、まるでゴシック・ホラーのような展開になるのであっけにとられてしまいますが、セットの質感もさすがに厳しいし、なにより照明が怪奇映画のタッチではない。これが大映映画なら完璧な怪奇ロマン風ライティングを見せてくれるはず。いや、大映テレビの「ザ・ガードマン」の撮影水準でさえ軽く本作を上回るから、日活は怪奇劇が苦手なんだと思う。実際、他社では必ず作る単純な怪談映画を全く製作していない。さすがに末期に石井輝男に撮らせたりしてますが。そういえば、終盤は『真夜中の招待状』を先取りした展開ですが、あちらは野村芳太郎なのでもっと陰湿で本気度が高くて、狂ってます。

■お話は奇妙だが、文芸大作仕様で配役は豪華。結婚相談所の社長が沢村貞子で、持って回った小細工で純真なハイミスのいづみをコールガールに堕としてゆく蛇のような演技がさすがに上出来で本作の見ごたえの大部分を背負っている。そのあたりは中平康の演出も編集も冴えている。演技が臭くて、やけにケバいクラブのママが誰かと思いきや、稲野和子の怪演でした。ご苦労さまです。ほんとはもっときれいな人なのにね!
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